米国務長官、エジプト大統領と会談 対イランで「同盟」構築へ
中東歴訪中のポンペオ米国務長官は10日、エジプトのシシ大統領と会談した。
ポンペオ氏は、エジプトがテロとの戦いや国境管理に努力していることを評価し、両国の戦略的関係を深めることに期待感を表明した。また、シシ氏が、建設を開始した新首都にコプト教(エジプトのキリスト教)の教会本部やイスラム教の大モスクを造ることを通じ、宗教和解に取り組んでいることを称賛した。
シシ氏は、パレスチナ問題の国際法に基づく公平で包括的な解決に向け、米国と協力して仲介に当たると主張。対テロ戦でも、過激主義思想の根絶に向け協力し合う必要性を強調した。
ポンペオ氏は、サメハ・ハッサン・シュクリ外相との会談後に行った共同記者会見で「米国は中東地域でエジプトなどの国々との確固たる同盟国であり続ける」と明言。「米軍部隊をシリアから撤退させるものの、米国に敵対する勢力への壊滅作戦は継続する」と強調した。
ポンペオ氏は同日、カイロ・アメリカン大学で講演し、イランの影響力拡大阻止に向け、米国がペルシャ湾岸諸国とエジプト、ヨルダンとの間で「中東戦略同盟」の構築を進めていると説明。「米国は今後もイスラム過激派のテロに対抗し、対テロ戦での不動のパートナーとなり続ける」と強調した。米政府は1980年以来、エジプトに約400億ドルの軍事支援と約300億ドルの経済支援を行っている。
ポンペオ氏の中東歴訪は、トランプ米大統領による突然のシリアからの米軍撤退表明を受け、中東諸国に広がる懸念を打ち消す狙いがあるとみられる。ポンペオ氏は、既にヨルダンとイラクを訪問。この後、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタール、オマーン、クウェートを訪れる。
(カイロ鈴木眞吉)