イスラエル首相、試練の訪欧


“エルサレム首都”で応酬
仏大統領「入植凍結を」

 フランスのマクロン大統領は10日、パリを訪れているイスラエルのネタニヤフ首相と大統領府(エリゼ宮)で会談し、トランプ米大統領がイスラエルのエルサレムを首都と承認した決定について「容認できない」と重ねて主張した。

マクロン氏(右)とネタニヤフ氏

10日、パリで記者会見するフランスのマクロン大統領(右)とイスラエルのネタニヤフ首相(EPA=時事)

 会談後の記者会見で、マクロン氏は「中東和平は米国やフランスから一方的に来るものではなく、イスラエルとパレスチナ双方の歩み寄りによるものだ」と述べ、国際的批判を浴びている東エルサレムなどでのユダヤ人入植地の建設について、和平実現のため凍結すべきだと訴えた。

 ネタニヤフ氏は「すでに政府は和平の提案を行っており、パレスチナ(自治政府)のアッバス議長にも伝えてある」と反論、「和平を望むなら協議のテーブルに着くべきだ」と主張した。

 これまでフランスは和平の仲介を試みてきたが、マクロン氏は過去の中東和平イニシアチブについて、「結局はお互いのつぶし合いになるので、イニシアチブを強化しない方が望ましい」と述べ、直ちに再開する考えがないことを表明。トランプ米政権が新たな提案をするまで、「フランスは事態の進展を見守るため、数週間あるいは数カ月待つことに賛成する」と述べた。

 一方、ネタニヤフ氏は「エルサレムが過去、パレスチナの首都であったことは一度もない」と強調し、トランプ大統領の決定を非難するパレスチナの主張を一蹴した。

(パリ安倍雅信)