ISの国家実現潰える


シリアのラッカ陥落、近く正式宣言

 イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と位置付けてきたシリア北部ラッカが17日、事実上陥落し、ISが試みた預言者ムハンマドの後継者「カリフによる統治体制国家建設」のもくろみはついえた。大規模な軍事作戦を終えた18日も米軍の支援を受けたクルド人・アラブ人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)によるIS残党の掃討や地雷の除去作業が続いた。SDFのスポークスマンは「間もなく解放が正式に宣言される」と語った。

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 各種報道を総合すると、ラッカにいた約2500人のIS戦闘員の大半は殺害され、ここ数週間に投降した外国人戦闘員を含むIS戦闘員は約400人、ラッカ市街の9割以上が解放された。

 ラッカ制圧は、7月に奪還したイラク第2の都市モスルに次ぐ大きな戦果。空爆などでSDF支援体制を組む米軍主導の有志連合は18日、「SDFはラッカの95%を支配し、最後に複数の地区で掃討を続けている」と明らかにした。取り残している地域の掌握も時間の問題となった感がある。

 現在、ISがシリアで勢力を維持している地域は東部のイラク国境付近の一部。ISがイラクで依然勢力を維持している地域は、西部のシリア国境地帯にあるユーフラテス川沿いの渓谷などで、ISは、最盛期に両国で支配した地域の約13%にまで狭まった。

 ただ、カリフを宣言したバグダディ容疑者は未(いま)だ逮捕されておらず、両国に残るIS戦闘員は約6500人との一部報道もある。

(カイロ鈴木眞吉)