米大統領、イスラエル入り 和平交渉の再開に意欲
現職で初、「嘆きの壁」訪問
中東・欧州歴訪中のトランプ米大統領は22日正午すぎ(日本時間18時すぎ)、イスラエルに到着した。テルアビブのベングリオン国際空港ではネタニヤフ首相夫妻、リブリン大統領夫妻をはじめ政府閣僚、宗教指導者らが出迎え、同軍による歓迎式典が開かれた。
式典でネタニヤフ首相は「歴代米大統領で、最初の外遊国にイスラエルを含めたのはトランプ大統領が始めてだ。これは歴史的なことだ」と歓迎。続いてあいさつしたトランプ氏は「最初の外遊でイスラエルとの揺るぎない関係を築くために来た」と述べ、「テロとの戦いに打ち勝って、中東地域に安定した平和をもたらすため、共に取り組む必要がある」と訴えた。
トランプ氏は23日にパレスチナ自治区ベツレヘムでアッバス・パレスチナ自治政府議長とも会談する。イスラエル、パレスチナ双方の首脳との会談を通じ、2014年以来中断している中東和平交渉の再開に向けて仲介に乗り出す考えだ。
また、ネタニヤフ首相は22日のトランプ氏との会談で、米大統領選でトランプ氏が公約してきたエルサレムへの米大使館移転なども話し合うとみられる。
トランプ氏は歓迎式典後、エルサレムに移動し、大統領官邸でリブリン大統領と会談、また、エルサレム旧市街にあるキリストの墓があるとされる聖地「聖墳墓教会」、ユダヤ教の聖地「嘆きの壁」を訪問した。米大統領が在職中に「嘆きの壁」を訪れるのは、トランプ大統領が初めて。
歴代米政権はパレスチナ国家を樹立してイスラエルと共存させる「2国家共存」を唯一の解決策としてきたが、トランプ氏は2月、米ホワイトハウスでネタニヤフ首相と会談した際、イスラエルとパレスチナの共存を目指す「2国家共存」に必ずしもこだわらない考えを示した。
一方、トランプ氏は訪米したアッバス議長との3日の初会談の際、共同声明で「仲介のため必要な全てのことを行う」と明言した。トランプ氏は21日、サウジアラビアでの演説においてイスラエル・パレスチナ問題の恒久的な解決を目指すと表明しており、仲介役としての手腕が問われる。
(エルサレム森田貴裕)