渡り鳥の中継地フラ湖ーイスラエルから
地球だより
イスラエルには秋から春にかけて毎年、5億羽以上の渡り鳥がやって来る。特に北部にあるフラ湖国立公園は、渡り鳥の中継地として有名だ。珍しいところでは、ペリカンやコウノトリ、日本人になじみの深いツルなどの群れが確認できる。
欧州やアジアから来る渡り鳥は、イスラエルで羽を休めた後、越冬地のアフリカを目指す。中には渡らずにイスラエルで越冬する鳥や、居心地が良過ぎてそのまま定着してしまう鳥もいる。春になってアフリカから北へ戻る時にも、イスラエルは5日間飲まず食わずの砂漠越えで疲弊した渡り鳥の食料調達地となる。
フラ湖はシーズン中、バードウオッチングを楽しむために訪れる観光客でいっぱいだ。湖畔を巡るには徒歩もいいが、レンタルで電動カートや自転車が使えて便利だ。湖畔に点在するバードウオッチングスポットに立ち寄りながら、その場所ごとに見られる鳥たちの姿を堪能することができる。
今季は3万羽ものツルが訪れているが、鳥インフルエンザの流行で8000羽以上のツルが死んだ。地元メディアによると、観光に来た子供たちが鳥インフルエンザウイルスに感染したツルに触って、感染が拡大したという。
人間もコロナ禍で非常事態だが、鳥の世界でも感染症で多くの犠牲が出ている。観光客はあくまでバードウオッチングにとどめ、鳥たちの生活に介入するような行為は大人が責任を持って禁じるべきだと思う。(M)