アフガンNGO 緊急アピール、女性に教育続ける人道支援を


「憲法は残飯のように投げ捨てられた」

 アフガニスタンで女性の教育を推進してきたサケナ・ヤクービ博士からタリバンによる首都カブール制圧後の17日、支援を求めるメールが届いた。博士は女性たちに教育の場を提供するための「アフガン・インスティチュート・オブ・ラーニング」(AIL)という非政府組織(NGO)の責任者だ。同博士の緊急アピール(抜粋)は、以下の通り。(ウィーン・小川 敏)

 親愛なる、友人、支持者、そして同僚の皆様。

サケナ・ヤクービ博士

 これは私が今まで書いた中で最も困難な手紙の一つです。 (2001年タリバン政権崩壊から)20年後、私たちの政府はほとんど抵抗なく崩壊しました。一生懸命働いて勝ち得た憲法、女性が多くの犠牲を払って得た権利は、犬への残飯のように窓から投げ出されました。軍隊とガニ政府は逃亡し、女性と子供たちは無防備な状況に置かれ、タリバンに直面することになりました。アフガニスタン・イスラム共和国は崩壊し、カブールは完全にカオスです。私の事務所とスタッフは無傷であり、神に感謝します。

 アフガンは混乱しています。私の学校は今も残っています。今のところ、男子と女子を分けて授業をする限り、続けることができると指示されています。タリバンがカンダハルを占領した最初の日、彼らは私の学校を訪ねてきました。ということは、私の学校は彼らにとっても重要であるに違いありません。

 私たちの女性学習センターは、主に女性にサービスを提供しているため、開いたままです。今のところ、スタッフは無事です。これが真実であり続けることを願って祈っています。ラジオとテレビのメラジ放送(15年、同博士ら女性たちが参加して開設)は、通知があるまで運営しないように言われています。その指示を待ちます。タリバンが学校を閉鎖するつもりはないと世界に告げた時、タリバンがうそをついていないことを願って祈っていますが、私たちの大学はすでに女性への扉を閉ざし、家に帰るように言われています。

 ブルカの売り上げは3倍になり、購入価格も3倍になりました。以前タリバンの支配下で生活していた女性たちは、今、これらの衣服を購入しに行きますが、米軍の占領後に育った娘たちは、着用を拒否して、母親の顔にそれらを投げ返します。

 AILはAILが常に行ってきたことを行い続けます。私たちは、子供と女性のための安全な空間を提供し、教育し続けます。私たちは恐れていますが、敗北することはありません。

 人道支援が必要です。難民の状況は悪化しているだけです。30万人の国内難民と8万人の子供たちが避難所や食料を持っていません。物資が不足しています。援助機関は米国人と一緒に去りました。

 AILは去らないので、戦闘で家を含むすべてを失った人々を助けるために施設を拡張します。粉ミルク、衣類、学用品、薬、衛生用品が必要ですが、新型コロナウイルスのため石鹸(せっけん)と消毒剤が重要です。多くの皆さんから他に何ができるかを尋ねられ、それに対して私は国連と政府当局者に連絡して、彼らが外交手段を通して私たちの女性と少女を保護するために持っているすべての可能なツールを使ってほしいと言いました。

 私たちの民主主義は今のところ後退しているかもしれません。しかし、信念はそれほど簡単に消えることはありません。風のささやきを殺すことはできません。思ったより時間がかかっても私たちは勝ちます。

 全てに愛を込めて  サケナ・ヤクービ

※NGO「アフガン・インスティチュート・オブ・ラーニング」(AIL)https://www.afghaninstituteoflearning.org/