イスラエル 米仲介で署名、トランプ氏「新たな夜明け」


イスラエル 米仲介で署名

 イスラエルは15日、長らく敵対関係にあったアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンのアラブ2カ国と米ホワイトハウスで国交正常化の協定に署名した。仲介役を果たしたトランプ米大統領は、「われわれは歴史の流れを変える。何十年にもわたる分断と対立を経て、中東は新しい夜明けを迎えた」と強調し、他のアラブ諸国もこれに追随するとの見方を示した。

15日、米ホワイトハウスで、国交正常化合意文

15日、米ホワイトハウスで、国交正常化合意文書への署名を終えたバーレーンのザイヤーニ外相(左)、イスラエルのネタニヤフ首相(左から2人目)、アラブ首長国連邦(UAE)のアブドラ外相(右)の間に立つトランプ大統領(AFP時事)

 今回の合意は、イスラエルがパレスチナとの対立を解消することがアラブ諸国との正常化の前提と考えていた従来の方針を転換したトランプ政権のアプローチが、成果を挙げつつあることを示した。11月の大統領選が近づく中、トランプ氏は中東において和平を促進した実績をアピールしたかたちだ。

 ネタニヤフ首相は「今日は歴史の転換点であり、平和の新たな幕開けを告げる日だ。これは、最終的に他のアラブ諸国にも拡大され、アラブとイスラエルの紛争を永遠に終わらせるだろう」と語った。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、UAEのアブドラ外務・国際協力相、バーレーンのザヤニ外相と国交正常化協定に署名。それによると、イスラエルとアラブ2カ国は、相互に大使館を設置するほか、貿易や教育、医療などの面で協力を進める。またイスラエルは、占領地ヨルダン川西岸地区の併合を一時停止する。

バーレーン

 

 UAEとバーレーンによる決定は、イランによる脅威に対する両国の懸念の高まりを反映している。トランプ政権は今回の合意をきっかけに、他のアラブ諸国とイスラエルの正常化を仲介して敵対するイランへの包囲網強化するとともに、停滞するイスラエルとパレスチナの和平交渉を促すことも期待している。

 トランプ氏は、署名式の後、記者団に「7か8、もしくは9カ国」が今後、イスラエルと国交を正常化すると指摘。地域大国のサウジアラビアも「しかるべき時に加わる」との見通しを語った。

(ワシントン 山崎洋介)