レバノンで爆発 100人超死亡
4000人負傷 化学物質引火か
レバノンの首都ベイルートの港湾地区で4日、大規模な爆発が連続して起き、少なくとも100人が死亡、4000人以上が負傷した。倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムに引火した可能性が指摘されている。周辺の建物の多くが倒壊しており、死傷者は今後さらに増加するとみられている。
▼邦人1人軽傷
レバノンの国営通信(NNA)は5日、爆発は2回、火災から小さな爆発が起き、続いて化学倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムに引火し大爆発が発生した可能性があると伝えた。硝酸アンモニウムは爆薬や農薬の原料に使用される化学物質で、海外でもたびたび爆発事故が起きている。
レバノン政府は4日、6年前から2750㌧の硝酸アンモニウムが倉庫に保管されていたことを明らかにした。
現地からの報道によると、多数の建物が倒壊し、車は横転。衝撃波で数㌔離れた住宅などの建物の窓が吹き飛ばされるなど被害が出た。病院も破壊されており、搬送された負傷者の手当てが十分にできていないという。在レバノン大使館によると、邦人1人も軽傷を負った。
イスラエル紙エルサレム・ポストによると、被害額は30億㌦から50億㌦に上り、20万~30万人が住む所を失う可能性がある。レバノンは景気の悪化から昨年、反政府デモが発生、3月にはデフォルト(債務不履行)を宣言した。新型コロナウイルスの感染拡大も経済への負担になっており、爆発によりさらに苦境に追いやられる可能性が高い。
ネーム経済通商相は、小麦粉のサイロが破壊され、国内の1カ月分の食糧が失われたと指摘、食糧の確保の必要性を訴えた。
ディアブ首相は、3日間の服喪期間と2週間の緊急事態を宣言した。これまでにも保管されていた硝酸アンモニウムの危険性は指摘されていたが、対策は取られていなかった。ディアブ氏は「この大惨事を引き起こした者を突き止め、責任を取らせる」と表明した。
(エルサレム 森田貴裕)