エジプトのムバラク元大統領死去
エジプト国営テレビは25日、エジプトで約30年にわたり政権を担い、チュニジアから発生した独裁政権打倒、民主主義確立を求めた中東諸国の民主化運動「アラブの春」により、2011年2月に退陣したムバラク元大統領が首都カイロの軍病院で死去したと報じた。91歳だった。
ムバラク氏は軍出身で、1973年の第4次中東戦争でイスラエル軍を相手に軍功を挙げ空軍元帥に昇進、第3代大統領のサダト大統領の下で75年に副大統領に抜擢(ばってき)され、76年、イスラエル和平への外交転換を支えた。
しかし、和平への国民の反発も根強く、サダト氏が81年10月に同戦争戦勝記念日のパレードを観閲中にムスリム同胞団から派生した過激派・ジハード団に所属する将兵によって暗殺されると、大統領に就任。微妙な中東情勢の中で親米アラブ諸国を主導する外交力を維持してきた。大統領時代を懐かしみ、悲しみを表現する国民も多い。
(カイロ鈴木眞吉)