イラン有力司令官を殺害 トランプ氏指示、空軍イラクで空爆
ハメネイ師「厳しく報復」
イラン革命防衛隊の特殊部隊「コッズ部隊」のガゼム・ソレイマニ司令官が3日、イラクの首都バグダッドの国際空港で米軍のヘリコプター攻撃を受け、殺害された。米国防総省はトランプ大統領の指示で攻撃を実施したと発表した。
コッズ部隊はイラン最高指導者の直属機関であるイスラム革命防衛隊の中で、世界中のさまざまな軍事組織に支援や訓練を提供し、敵国に対する破壊工作や国外のイラン反体制派の排除などを行っている。米国務省はコッズ部隊を「外国テロ組織」に指定している。
ソレイマニ司令官は先月末に米国人が死傷したイラク国内の米軍基地への攻撃や米大使館襲撃事件を指揮したとみられていた。
同司令官は、親イランのアブドルマハディ氏をイラク首相に就任させ、また、辞任表明した同氏を翻意させるなど、イラク政治に深く関与していると言われていた。
米軍の攻撃により、ソレイマニ司令官とイラクのイスラム教シーア派軍事組織の連合隊「人民防衛隊」の副司令官で、「カタイブ・ヒズボラ(KH)」の指導者アブ・マフディ・アルムハンディス容疑者ら少なくとも8人が死亡した。
ソレイマニ司令官殺害を受け、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は3日、3日間の服喪を宣言するとともに、「手を血で汚した犯罪者を待っているのは厳しい報復だ」と、米国に警告する声明を発表した。
ザリフ・イラン外相も「非常に危険でばかげた行為だ」とし、「米国はあらゆる結果の責任を負う」と非難した。革命防衛隊元トップのモフセン・レザイ氏も、「恐ろしい報復」を誓った。
イラクのアブドルマハディ首相は、米国がイラク国内で攻撃を行ったことを非難。米軍のイラク駐留に悪影響を与えることになると警告した。
米国防総省は声明で、「米軍は大統領の命令で、海外展開する人員を守るために決定的な自衛行動を取った」と強調。詳細は明らかにしなかったが、「イランの今後の攻撃計画を抑止することが目的だった」と主張した。
米軍は先月末、イラクの米軍基地が攻撃されたことに対する報復で、イラクとシリアにあるKHの拠点5カ所を空爆した。これに対し、親イラン派が米大使館周辺で米軍の空爆に対する抗議デモを行うなど緊張が高まっていた。
(カイロ 鈴木眞吉)