北朝鮮無人機、20年前から生物化学兵器搭載
元駐ベトナム北朝鮮3等書記官が証言
北朝鮮は14日、北西部・亀城(平安北道)付近から弾道ミサイル1発を発射し、改めてその脅威を見せつけているが、一方で同市にある空軍飛行場では生物化学兵器を無人機に搭載し攻撃する準備がすでに約20年前から行われていたことが明らかになった。軍服務時代、この飛行場で無人機の管理・運営に携わった経験のある韓進明(仮名)元駐ベトナム北朝鮮大使館3等書記官(42)はこのほど本紙に北朝鮮無人機の開発状況を語った。(聞き手=ソウル・上田勇実)
攻撃用300~400機保有、1時間でソウル上空
空軍で無人飛行機に関わるようになったいきさつを。

ハン・ジンミョン 北朝鮮・平壌出身。平壌外国語学院を経て金日成総合大学フランス語学科卒。外務省入りし主体思想対外宣伝局などで勤務。2013年から駐ベトナム大使館。15年に韓国亡命。韓国の国家安保戦略研究院にも勤務。
父が行政部で働いていた関係で、私は大学(金日成総合大学)に行く前に軍服務になった。幹部の子息はそういうケースが多かった。私が配属されたのは平安北道亀城市の芳峴飛行場で、攻撃用無人機の無線を担当した。韓国で2014年に落下した北朝鮮の無人機は偵察用で、攻撃用はそれより一回り大きく全長7~8㍍に達する。北朝鮮の軍事パレードでも公開されたことがある。
北朝鮮は1995年ごろだったと思うが空軍、人民武力部、国防総合大学の3カ所が競争して無人機開発に取り組んでいた。最初は肉眼で操縦を補助していたが、その後、GPS(全地球測位システム)を利用。エンジン小型化も課題だったが、今はクリアしているだろう。
北朝鮮は攻撃用無人機を何機保有しているのか。
韓国では1000機という見方もあるようだが、攻撃用は300~400機くらい保有していると思う。軍事境界線近くは米国の偵察衛星などの監視が厳しいため、地下などに隠しておく。それでも2012年に関係者から聞いた話では平安南道まで南下し配備されているようだ。
実戦配備されているということか。
攻撃用無人機は移動することが多く、修理班が一緒に付いて行く必要がある関係で完全な実戦配備とは言えない。ただ、技術的には実戦配備段階と判断していいと思う。有事には当然飛ばすだろうし、約1時間でソウル上空に達する。
韓国にとって北朝鮮無人機の脅威はどんなところにあるか。
私が芳峴飛行場服務時代に驚いたのは、朝鮮労働党から関係者が来て生物化学兵器らしきものを無人機に搭載し、近くの山野で散布する実験をしたことだった。散布後に山に確認しに行くと植物は何とか残っていたが、動物は全滅だった。中身が何なのかは秘密に付されていた。現在、無人機には1200㍑入りタンクが装着され、そこに生物化学兵器を搭載できるようになっている。
韓国軍も電波妨害などで無人機侵入を防ぐシステムを構築しているだろうが、低空で侵入してくる無人機はレーダーで探知できない。弾道ミサイル迎撃用にTHAAD(高高度防衛ミサイル)を配備したが、それだけでは安心できない。北朝鮮は北東アジアのISだと言っても過言ではないのだから。










