戦術核再配置に触れぬ大統領選有力候補
国を守るなら戦う覚悟が必要
トランプ米大統領が今月入って3度も、「中国が(北核解決を)しなければわれわれがするだろう」と宣言し、ティラーソン国務長官は、「米中両首脳はすべてのオプションを議論した」とした。北が核実験やICBM発射の兆しを見せれば、軍事対応をするという公式宣言だ。
それでも韓国の有力大統領選候補らは無関心を装っている。すでに配置が終わっているべきサード(高高度防衛ミサイル)も一進一退だ。これまでサード配置に渋かったある候補は、「核挑発が続けば配置する」と前言を翻した。誰が見ても選挙用の“見せ掛け発言”だ。
核ミサイル1発に数百万人の命と国の運命がかかっている。先制的対応だけが唯一の対策だ。逆説だが戦争を防止しようとするなら戦争を準備しなければならない。
第3次世界大戦の危機が高まっていた米ソ冷戦を平和的に終息させたのは1980年代初め、レーガン米政府の戦略防衛構想(SDI)だった。“スター・ウォーズ”計画がかえって戦争を防止した。圧倒的な力で70年以上対立してきた世紀の体制競争を終えた。
なぜ有力候補らは国民の財産と生命を守るために戦術核の再配置を含んだ北核とビッグディールするほどの公約を掲げないのか。むしろ群小候補らの安保公約の方が注目される。
金大中(キムデジュン)・盧武鉉(ノムヒョン)政府の時、安保強調論を出すだけで、「それでは戦争しようといっているのか」と真顔になった。いまでも政府がサード配置を決めると、「それでは中国と戦争しようという話か」と脅しをかける輩がいる。
国体を保全しようとするなら戦う準備と覚悟が必要だ。戦争を導く最高責任者は大統領だ。戦争をする覚悟がない候補は大統領選挙に出てはならない。
わが民族は古朝鮮以来、壬辰倭乱(文禄の役)、韓国動乱を含んで約900回の大小の侵略を受けた。歴史から教訓を得ることができない国には未来がない。李珥(イイ)の「10万養兵説」を無視した宣祖(ソンジョ)は後で倭軍に国土と民を蹂躙(じゅうりん)された。
最近、北朝鮮の乱数表放送と首都圏一帯に集中投下されたビラを見れば、北朝鮮の下心が見える。
指令文中に「朴槿恵(パククネ)引き下ろし」「サード配置阻止」「統合進歩党解党の解除」「李石基(イソッキ)釈放」などが含まれているのをどう見るだろうか。
(趙貞鎮(チョジョンジン)論説委員、4月13日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。