文化芸能界ブラックリストと独裁の亡霊
韓国紙セゲイルボ
文化芸術界のブラックリストがあるという。朴槿恵(パククネ)政府に批判的な文化芸術界の要人約1万人の名簿を作り、彼らを政府支援から排除したということだ。
青年期を軍部独裁下で過ごした韓国の世代はブラックリストに対する記憶は特別だ。さまざまな分野に数多くのリストがあった。知識人でも工場労働者にしても政権に嫌われていれば、名前を載せられ、監視を受けていた。
作家の韓江(ハンガン)は「光州事件」を扱った小説を書いたとの理由でリストに載せられた。彼女がブッカー賞インターナショナル部門を受賞した時、大統領の祝電を断ったという。
自由な創作が生命である文化芸術界にブラックリストを作ったことこそ国政壟断(ろうだん)の性格を象徴的に物語っている。非常識な輩(やから)が国政を思うままにし、国の根本をかき乱した。「言論・出版の自由」と「学問・芸術の自由」を侵害して国民を弾圧した。
金淇春(キムキチュン)前大統領府秘書室長と趙允旋(チョユンソン)文化体育観光部長官がリスト作成・実行を主導した疑惑で特検に召還された。趙長官は国会の特別委聴聞会で繰り返しリストの存在を問われ、やむをえず認めたが、自身は作成・実行と関わりはないと否認した。卑怯で低劣だ。
国家の基本を揺るがしたリストの実状を一つ一つ暴かなければならない。リスト作成・実行関連者らには地位の上下を問わず厳重に責任を問わなければならない。この国で再びブラックリストという言葉を出してはならない。
(朴完奎(パクワンギュ)首席論説委員、1月17日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。