仏大統領が「欧州軍」創設呼び掛け
ロシアの脅威に対抗
フランスのマクロン大統領が、ロシアの脅威に対抗するための「欧州軍」の創設の必要性を訴えたことが波紋を呼んでいる。欧州を独自の軍で防衛する必要性を強調したものだが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国である米加との同盟関係を損ねる可能性もある。
マクロン氏は6日のラジオインタビューで、「真の欧州軍」を創設し、「中国、ロシア、さらに米国からも欧州を守らなければならない」と語った。攻勢を強めるロシアに対し東部国境の強化の必要性を訴えたものだが、「米国第一主義」を訴え、NATOに距離を置くトランプ政権をも牽制(けんせい)した格好だ。
欧州独自の軍の必要性を訴えたのはマクロン氏が初めてではない。
ドイツのメルケル首相は5月、「欧州は自身の手で欧州を守らなければならない」と、ロシアなど潜在敵国に欧州だけで対処する必要性を示唆していた。貿易、気候変動、イラン、ロシアなどの問題をめぐるトランプ米政権との対立を受けた発言だ。
トランプ政権が中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明したことも、欧州の反発を招いた。
マクロン氏は、「80年代に欧州を襲ったミサイル危機を受けて交わされた」条約の破棄によって「被害を受けるのは欧州とその安全だ」と主張、国防、安全保障をめぐる米国との相違を強調した。
欧州連合(EU)は昨年、合同防衛予算を設け、すでに、NATOの枠組みとは別に9カ国からなる即応部隊を設置するなど、独自の動きを見せている。
(ワシントン・タイムズ特約)