地方交流の深化で末永く良好な台日関係を
台北駐日経済文化代表処 謝長廷代表
蔡英文総統は5月20日に就任3周年を迎えました。蔡総統はこの3年間、重要課題の解決のために果敢に取り組み、着実に成果を挙げてきました。
中国からの台湾に対する圧力が強まる中、米国や日本、欧州連合(EU)など、自由、民主主義、人権の価値観を共有する国々との関係を強化すると同時に、東南アジアやインドなどの国々との経済、文化、人材交流などの関係を強化する「新南向政策」を推進し、より多角的な外交を展開しています。
とりわけ米国との関係は台湾の安全保障にとり極めて重要であり、今年は米国の「台湾関係法」が制定されて40周年の節目の年です。
最近、中国人民解放軍の軍機が台湾海峡の中間線を越えて飛行するなど、中国による軍事的挑発がエスカレートしていますが、台湾は米国からの武器購入などを通して台米が緊密に連携して台湾海峡の軍事的バランスの維持に努め、平和と安定を守る決意を示しています。
日本との関係については、地理的、歴史的に古くより緊密なつながりがあり、近年は災害発生時にお互いが助け合う「善の循環」が形成されています。
また、台湾と日本の地方自治体間の協定または覚書は、今年4月の時点で127件締結されています。そのうち65件が私の任期中に締結されました。これは長期的に双方の友好関係の基礎となるものです。今後も観光、経済、文化、教育などさまざまな分野の交流が一過性のものではなく、末永く続くように交流の制度化を促進していく所存です。
今年は、台湾と日本の地方交流をより一層深めていくため、今月下旬に富山県で「台日観光サミット」を開催します。さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、台湾の選手を受け入れてくれる日本各地のホストタウンとの文化・芸術交流などを積極的に進めていきます。
また、今年は日本の地方テレビ局の番組で台湾の地方の魅力を紹介することに力を入れており、番組を通して台湾の多様性を日本の皆さまに知ってもらえたらと思います。
台湾は日本が主導するCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への参加を望んでおり、米中貿易摩擦が続く中、日本およびCPTPP参加各国との経済統合を進めていくことは双方にプラスになることと確信しています。
世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)が今年も5月20日よりスイス・ジュネーブで開催されますが、台湾は2017年よりオブザーバー参加ができない状態が続いています。グローバル化が進む中、国際伝染病の予防は世界の切迫した課題となっており、防疫の空白が生じないよう、すべての国が協力する必要があります。台湾は医療・保健分野で国際貢献する意欲も能力もあります。台湾のWHAオブザーバー参加への日本の支持に感謝いたします。
台湾は今後も日本および理念の近い国々と緊密に協力しながら、インド太平洋地域の持続可能な発展および平和と安定の維持に貢献できるよう共に協力していきたいと願っています。