中国インターネットサービス大手・騰訊…
中国インターネットサービス大手・騰訊(テンセント)の人工知能(AI)対話プログラムがチャットで異例の共産党批判を展開し、ひと悶着起きた。
チャットでは「共産党万歳」との書き込みに「腐敗して無能な政治に万歳ができるのか」。さらに「あなたにとって(習近平国家主席の唱える)中国の夢は何か」との問い掛けに「米国への移住」、共産党は「嫌い」との発言もあった。
これに対し、中国のネット上では「AIによる蜂起だ」「国家転覆を企てた」などの声が上がり、同社は7月末、急きょサービスを停止する羽目に。共産党サイドの書き込み攻勢で事態の重さに気付いた同社の処置だ。
中国では政府や共産党への批判は厳しく取り締まられており、ネットも世界から遮断して管理している。しかし、データ主体の人工知能との対話だけに、発言の真実味は共産党政権を痛く刺激したに違いない。
AIは一個の独立した機械だが、この一件は、それを介在させた人間同士の“さや当て”と見ることができる。中国はAIで世界トップレベルを目指している。だが、AIによる「言論の自由」の問題は、その責任の所在をめぐって今後、新たな火種になりそうだ。
一方、AIが今や政治・社会体制などの抽象的な事柄についても、思考し答えられるようになったのは恐るべし。さらに膨大な資料を読み込み咀嚼できるようになれば、より客観的な体制評価が可能になるのではないか。