サンゴ保護へ排出削減を


温暖化の難逃れは2%だけ 豪研究機関

2020年に白化現象に見舞われた世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ=モーガン・プラチェット氏撮影(ARCサンゴ礁研究所提供・時事)

2020年に白化現象に見舞われた世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ=モーガン・プラチェット氏撮影(ARCサンゴ礁研究所提供・時事)

 オーストラリア研究機関のARCサンゴ礁研究所は5日、同国東岸に広がる世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフで、体内から藻類が抜ける「白化現象」の難を逃れたサンゴ礁が、過去二十数年間で全体の2%にすぎなかったとの研究成果を公表した。地球温暖化に伴う異常気象が影響しているという。

 担当したテリー・ヒューズ教授は世界の気温上昇を産業革命前よりも1・5度に抑えることができれば「サンゴ礁として機能する」と説明。英国で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を踏まえ、温室効果ガスの排出削減に向け「失う時間はない」と訴えた。

 サンゴは海水温の上昇などで白化現象が起きると、体内から共生する藻類がいなくなり、長期化すれば死滅する恐れがある。約35万平方キロと日本の国土に匹敵する広さがあるグレートバリアリーフでは、当時は「最も暑い1年」だった1998年に初めて白化現象が発生。これまでに大規模な白化が5回発生したが、近年は頻発しており懸念が高まっている。

(シドニー時事)