【中華民国双十節】台日の友好関係 次の100年も発展へ
台北駐日経済文化代表処代表 謝 長廷
中華民国は今年、建国110周年を迎えます。辛亥革命以来、百年以上にわたる人々の努力により、台湾の民主主義制度は定着し、世界の民主主義陣営の一員として、インド太平洋地域の平和と安定、発展の要として注目されるようになりました。
昨年より、新型コロナウイルスとの戦いは世界共通の課題となっていますが、台湾の防疫対策は世界から高く評価されました。台湾はその知見を国際社会と分かち合うことを望んでいますが、台湾は世界保健機関(WHO)年次総会への参加が今年もかないませんでした。しかし、台湾を支持する国際社会の声はますます強くなっています。
日本の参議院は今年6月、全会一致で台湾のWHO参加を支持する決議を可決しました。命の平等という基本的価値の追求を堅持する立場を表明されたことに、心から敬服しました。また、今年5月に台湾の新型コロナの感染状況が厳しくなった際、日本政府はワクチンを真っ先に提供してくださり、6月から9月にかけて5回にわたり計390万回分が届けられました。このことは台湾にとって「恵みの雨」でした。改めて日本政府および各界のご支持に御礼を申し上げます。
台湾と日本はこれまで地震や水害、そしてマスクとワクチンの支援など、困ったときに助け合う「持ちつ、持たれつ」の関係が築かれています。それは家族のような気持ちで心配し、何とか助けになりたいという自然な感情からの行動であり、私はこれを「善の循環」と呼んでいます。
私は5年前に着任以来、地方交流を特に重視してきました。なぜなら地方こそ草の根の人々との距離が近いからです。昨年開催された「日台交流サミットin加賀」では、台湾のWHO参加への日本の取り組み強化などを求める「加賀宣言」が発表されました。これを受けて、今年9月までに日本の47都道府県議会のうち半数以上の35議会が台湾のWHO参加を支持する決議を可決しました。この地方の民意こそが国を動かし、前述の参議院決議につながったのです。
今年、私は東京五輪の台湾ホストタウンになっていただいた地方都市を訪問したり、リモート交流などを行い、台湾のパイナップルやバナナを届け、地元の子供たちに味わってもらいました。コロナ禍の影響で交流活動は縮小せざるを得ませんでしたが、五輪終了後も末永い友好が続くよう期待しています。東京五輪では、台湾の選手たちも素晴らしい活躍でした。金2、銀4、銅6のメダルを獲得し、史上最高の成績を収めることができました。
今ある台日友好関係は、百年前からの民間交流の蓄積により育まれた友情によるものです。私たちは次の百年に向けて、この大切な友好関係を次の世代につなぎ、末永く発展させていかなければなりません。
私たちは自由で民主主義の社会に暮らしています。台湾人と日本人は本音で語り合える親友です。うわべだけではない「心の通う交流」があることは、両国にとって財産であり、今後も大切にしていかなければなりません。台湾と日本が今後も手を携えて協力していけば、困難も共に乗り越えていけると確信しています。一緒にこれからも頑張りましょう!