教皇、ウイグル問題で初の非難 著書で中国の宗教弾圧に
ローマからの報道によると、カトリック教会のフランシスコ・ローマ教皇が来月1日に出版予定の著書の中で、初めて中国・新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族のイスラム教徒に対する中国政府による弾圧を非難した。これまでキリスト教徒を標的とするイスラム過激派のテロ攻撃を非難したことはあったが、今回はイスラム教徒の迫害に具体的に言及した形だ。
著書のタイトルは『変化の時―さあ、話そう、あえて夢を見よう』で、英国人のカトリック伝記作家、オースティン・イバレイ氏の協力によって書かれたもの。23日に内容が明らかになり、教皇はキリスト教徒に限らず、あらゆる宗教、民族への迫害を強く懸念していることを表明し、ウイグル族イスラム教徒を弾圧する中国政府に苦言を述べた。
また教皇は、著書の中で「私はしばしば迫害された人々のことを思い浮かべる。ロヒンギャ、貧しいウイグル、ヤジディ教徒、またはエジプトとパキスタンのクリスチャンが教会で祈っている最中に爆弾テロで犠牲者を出したこと」などを憂慮した。
バチカンは中国と10月22日に司教任命に関する合意に達した。
しかし、新疆のウイグル族に対して100万人以上を収容する再教育キャンプの存在が明らかになっており、世界の人権団体の追及に対して、中国政府は「職業訓練センター」だと主張している。トランプ米政権はこれまで、教皇に中国共産党のウイグル族イスラム教徒に対する宗教迫害を非難するよう求めた経緯もあった。
(パリ 安倍雅信)