子宮頸がんワクチン全接種者調査の結果を批判


予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(13)

連載13

海老名市の公開シンポジウムであいさつする同市の田中昭太郎医師会長= 14日、海老名市役所

 神奈川県海老名市で14日午後、第9回市民公開シンポジウム「子宮頸(けい)がんについて」が開かれた。150人を収容する区役所の会場には若い母親の姿が目立った。

 まず、海老名市医師会長である田中昭太郎氏があいさつ。

 この中で、子宮頸がんワクチンについて「先日、鎌倉市が全接種者アンケートを行った結果、副反応率が45%あったという記事が出ていた。読んでみると非常にアバウトなアンケートだ。確かに医療行為は副反応があるが、45%副反応があると書けば、非常に大きな誤解を招く」と不満を表明した。

 そのうえで、この日、同ワクチンの副反応について講演する神奈川県産科婦人科医会の東條龍太郎会長から「正しい情報を聞いて理解してほしい」と訴えた。

 だが、子宮頸がんワクチン「サーバリックス」の製造大手、英グラクソスミスクライン(GSK)は、ホームページ(HP)で「重要な症状の発現率はサーバリックス群で40・0%」と掲げているのだ。

 鎌倉市に続いて、全接種者アンケートを実施した大和市も、このほど結果を発表。「接種後、いつもと違う体調の変化はあったか」という設問に、やはり45%が「はい」と答えている。

 両市とも、症状として「接種部位の痛み・かゆみ」「部位の腫れ・あかみ」「疲労感、脱力感、筋肉痛」「頭痛」「発熱」「湿疹」「めまい」「失神」「手足の痛み」「その他」の10の選択肢を設定。

 どれかの症状が出た人数のうち「症状がその日のうちになくなった」とする人の数を除き、2日以上症状が続いた人の割合は、鎌倉市が40・4%で大和市は39%だ。

 海老名市の田中医師会長は、両市の結果が、英ワクチン会社の「重要な症状の発現率」と合致しているのに、「誤解を招く」数字と批判したことになる。

 これまで、「サーバリックス」(09年12月発売)と「ガーダシル」(11年8月発売)の接種が進められ、すでに320万人以上が接種している。厚生労働省に7月末までに報告されている副反応数は2259件だ。

 この比率から言えば、GSKの掲げている数字は大き過ぎてリアリティーがなかったが、鎌倉、大和両市の全接種者調査で、それが当然の数字であることが裏付けられた。

 子宮頸がんワクチンは、小学6年から高校1年までを対象に無償で接種されている。

 副反応は、接種から半年後に発症したり、痛みを伴う副反応でも、年齢層から成長痛とか部活動によるものなどと思いやすい。だが、全員調査だと率直に症状を伝えることがうかがえる。

 講演終了後、会場の参加者から「GSKのHPが重篤副反応の発現率が4・2%としているがどう考えるか」との質問が出た。

 東條医師も同席した海老名総合病院の清水篤医師(婦人科部長)もその数字は無視し「海老名市では痛みが残るような重篤な人は出ていない」(清水医師)といった守りの姿勢に終始。

 接種しているワクチンの会社の数字なのに、それと向き合う誠意が感じられなかった。

(山本 彰)