子宮頸がんワクチン勧奨は「時代に逆行」の声


予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(15)

 「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」の松藤美香代表は、ネットで子宮頸がんワクチン接種中止の署名活動中だ。ブログ「みかりんのささやき」から参加できる。

 最近、米テキサス州在住の日本人女性が署名を寄せた。

 そのヨーコ・フィリップさんは、「テキサスは現リック・ペリー知事の指示で、女子は12歳でこのワクチンを強制接種(拒否の場合は学校に出席できない)という州の法律までできましたが、あまりの問題の多さゆえ、その法は撤廃されました。日本のやろうとしていることは時代への逆行です」と記している。

 この内容は2011年9月、共和党の大統領候補に名乗りを上げたミシェル・バックマン下院議員(ミネソタ州)と、同じく大統領候補を目指したペリー・テキサス州知事との間で論争になった。

 ミシェル氏は「重大な問題は、ペリー氏が、彼の選挙に献金をした製薬会社に親の権利を譲り渡していることだ」と指摘。

 思春期前の女児に子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するワクチンを接種させるかどうかというのは、親の自由裁量に任されるべきである、というわけだ。

 米紙ワシントン・タイムズは社説で「HPVの『予防接種をされた』10代の女児らは、性活動に参加してもいいという青信号に等しい偽りの安全意識を植え付けられている」(同年9月23日)と懸念。

 さらに、子宮頸がんワクチンは、がんの原因のHPV約30%に対しては特効薬にはならない、と指摘。

 医学界の「未婚の10代の性行動は手に負えない」との考えが「9歳から12歳までという年端も行かぬ少女たちに、ワクチン接種を勧める決定の背後にある」と述べている。

 加えて、「ワクチン接種に焦点を絞っていれば、子宮頸がん流行の中心にある本当の問題から都合良く注意をそらすことができるのだ」と表明している。

 同社説は、米国立がん研究所が「性行動が活動期にある人々にとっては、長期の、感染していないパートナーとの相互の一夫一婦的関係が、HPVの感染を防ぐ最も可能性の高い戦略である」と説いている、と指摘。

 「10代が性行動に積極的になるか否かは、親が最も大きな影響力を持っている、といろいろな研究が繰り返し教えている」と付け加えている。

 米国での子宮頸がんワクチン接種率は約32%だ。法律で接種を積極的に勧奨される日本のように、子供たちが公的助成を受けて、半ば強制的に接種しているのは、ワシントンDCだけである。

 米免疫諮問委員会が2006年、米製薬会社MSDの「ガーダシル」を奨励した後、全米の州で公的助成をする雰囲気が生まれた。

 だが、①ワクチンの長期的疫学調査が行われていない②子宮頸がんは空気感染でうつるような伝染病ではない③性の自己抑制教育のメッセージが損なわれる―という理由から、各州議会では次々と公的助成の議論が下火になり、任意接種になっている。

(山本 彰)