子宮頸がんワクチンを接種し全身の痛みなどを訴える患者…
子宮頸がんワクチンを接種し全身の痛みなどを訴える患者の、全国同ワクチン被害者連絡会への問い合わせは、既に3000件を超えたという。先日、国と製薬会社2社に損害賠償を求める訴訟が全国で起こされた。
原告は15歳から22歳の女性63人。東京では車椅子の女性たちが記者会見し「(前面に出ない)多くの被害者たちの無念を解消したい」と述べたが、ずいぶん痛々しい。
従来のワクチン行政には不透明な点が多過ぎる。1980年代、インフルエンザ予防接種の集団訴訟で国が敗れると、以後、当局は新ワクチンの開発やその認定に消極的になった。
「リスクを取りたくない」という思惑が、ワクチン行政に付きまとうようになった。例えば、Hib(インフルエンザ菌b型)感染症を予防できる小児用ワクチンは、2008年になってようやく発売された。
一方、子宮頸がんワクチンの場合は、その事情が全く違う。このワクチンは、子宮頸がんそのものを予防する効果は証明されていないし、安全性にも問題がある。しかし販売が見切り発車的に承認され、推奨された。
接種後の免疫系の異常による神経障害が多数報告され、かつてのインフルエンザワクチンの副作用による障害の大きさ以上のものを思わせる。にもかかわらず当局は、ワクチン接種の積極勧奨を一時中止させた後は沈黙だ。ワクチン行政の一貫性のなさの背景に何があるのか、厳しく追及すべきだ。