子宮頸がんワクチン、「元の体に」「恒久支援を」


被害訴える原告女性ら

 若い女性らが27日、4地裁に一斉提訴した子宮頸(けい)がんワクチンをめぐる訴訟。全身の痛みなどに苦しむ原告らは、「元の体に戻してほしい」と救済を訴えている。

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母が押す車いすで移動する子宮頸(けい)がんワクチン訴訟原告の久永奈央さん=19日、横浜市都筑区の自宅

 横浜市都筑区の久永奈央さん(19)に異変が生じたのは、中3になって間もない2012年5月。3回目の接種から約8カ月がたっていたが、突然全身の痛みで動けなくなった。高1になると疲労や脱力に加えて頭痛やめまい、吐き気がひどくなり、睡眠障害も現れるように。検査をしても原因は分からず、訪れた別の病院で「ワクチンの副作用に間違いない」と医師から伝えられた。

 勧められた点滴治療などで少しずつ改善したが、自力では30分程度しか歩けない。母恵子さん(61)は「親が生きている間はいいが、恒久的な支援がなければこの子は生きていけない」と不安を募らせる。

 奈央さんは大学受験を控え、当初は提訴に消極的だったが、「国や製薬会社がどう考えているのか知りたかった」と裁判に加わった。「目的は賠償金ではなく恒久的な支援。裁判を通じてこういう症状があることを知ってもらいたい」と話す。

 北九州市に住む梅本美有さん(18)も中3から高1にかけて接種し、3回目の接種直後から左足に痛みが出た。歩けない状態が3カ月続き、朝起きることができなくなった。高校卒業に必要な単位を取れずに、別の単位制高校に転校。今春卒業したが、保育士になる夢は諦めた。

 「みんなと一緒に卒業できないのが本当に悔しかった」と振り返る梅本さん。「責任の所在をはっきりさせてほしいし、ワクチンを作ったことも販売したことも全部が許せない。元の体に戻してほしい」と訴えた。

(時事)