「海外」根拠に市議会無視
予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(16)
田村憲久厚労相は定例記者会見で17日、記者から、25日の副反応検討部会に向けての見解を問われた。
厚労相は、いろいろな症例を検証しながら、実数がどれくらいあるか海外と比べているが、海外では日本のような案件で接種中止をしたところがあるとは聞いていない、と回答。海外の例を参考に判断するのが妥当のような考えを示した。
だが11月、全国市議会議長会(会長、佐藤祐文横浜市議会議長)は、子宮頸(けい)がんワクチン接種について、国に「救済制度の充実」と「一時中止し、接種者全員への徹底追跡調査」を求める要望書を提出した。
今月17日には、横浜市議会が全会一致で同ワクチンの「因果関係が明確になるまで積極的勧奨を再開しないこと」を求める意見書を可決。
さらに20日には座間市議会でも同様の意見書が賛成多数で可決された。北海道議会、愛知県議会、鎌倉市議会、大阪府茨木市でも、ここ数日間で相次いで、同ワクチンの「安全性の徹底」を求める意見書が可決されている。
海外が問題ではなく、国内の意見に耳を傾け、全国市議会議長会の要望のように、一時中止して全接種者の徹底追跡調査を行うべきだろう。
子宮頸がんワクチン「サーバリックス」の製造元、英製薬会社「グラクソスミスクライン(GSK)」はホームページ(HP)の臨床試験成績として副反応率が40%、重篤副反応率は4・2%としている。
鎌倉・大和両市で全接種者調査を行った結果、このHPデータと同じ割合で女子生徒たちが副反応を患っていることが証明された。
さらに驚くべきことに、同HPは「新たな自己免疫疾患発症率が1・1%」と記している。
これも、海外の英文論文「ループス」が、ワクチンに含まれるアジュバントが原因で、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患になりやすいと報じた通りだ。
同HPによれば、100人に1・1人の割合で自己免疫疾患になる可能性がある。
子宮頸がんワクチンの副反応に詳しい佐藤荘太郎内科医は、「厚労省に上げられている報告を、症状で見たら、その多くがSLEの病名でくくることができる」と述べる。
自己免疫疾患は治療法が確立しておらず、多くが全国規模での研究が必要な「特定疾患」に指定されている。
厚労省の同検討部会は、6月14日、「痛み、しびれの原因を調査し、きちんと情報提供できるようになるまで、推奨を控えるべき」との理由で勧奨中止を決めた。
ワクチンとの関係で、痛みの原因をきちんと説明できなければ勧奨を再開することはできないはずだ。
厚労省は、接種後に発症した複合性局所疼痛(とうつう)症候群の原因解明と治療に当たる研究班をつくり、追跡調査を行っているが、痛みの原因は、十分に解明できていない。
回り道のようでも、全接種者調査を行い、徹底的に実態を把握することが、本当のワクチン先進国になる道と言える。
(山本 彰)