神奈川県大和市が子宮頸がんワクチン接種中止の口火
予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(8)
神奈川県大和市は、鎌倉市を上回る人口23万を擁するが、市のカラーづくりはこれからだ。
大和という名前は、村が合併し新たに市の名前を決めるとき、意見がまとまらず、日本古来の名前にしようということで決まった。
だがこの新興都市が、今年春先から子宮頸(けい)がんワクチン接種に待ったをかける重要な役割を果たしてきた。
6月6日の大和市議会厚生常任委員会で、子宮頸がんワクチンの接種事業を国に一時中止を求めるための意見書作成を要望する請願書が、日本で初めて可決された。
この請願書可決に向け、同ワクチンの問題点を真摯(しんし)に語り、他の会派委員の賛同を取り付ける役割を果たしたのが、自民党の井上貢市議と中村一夫市議だ。
同委員会で井上市議は、「子宮頸がんの予防効果より重篤副反応の出現率の方が4倍高い」と指摘。
「リスクが高いのに因果関係は十分に説明されていない。こんな状況では自分の子供にも勧められないし、大和市の子供たちにも勧められない」と訴えた。
これに対して公明党市議が、世界保健機構で推奨され、副反応がワクチンと因果関係があるかどうか不明であり、定期接種化となり補償が充実してきている、などとワクチン接種を懸命に後押し。
同委員会で息詰まる討論が行われたが、5対1の圧倒的票差で請願書が採択された。
国際機関や行政が推奨しているといった型どおりの説明よりも、身近な子供たちに、こんなリスクのあるワクチンは打たせられない、という血の通った訴えの方が打ち勝った。
請願書を提出した高津達美さんは「議員は、自分の気持ちを百二十%代弁してくれた」と興奮を隠さなかった。
同10日には、同県茅ケ崎市の市議会で、岩田はるみ市議(自民党)が一般質問で、服部信明市長に子宮頸がんワクチン接種がもたらす被害について質問した。
同市では、この時点で3人の副反応被害者が出ていた。岩田市議は、「腕がとても腫れ、痛くて鉛筆を持つことが出来ず、体中痛く、日常生活に支障をきたす事が、多々増えて来ました。ただの筋肉痛とか成長痛かと思い湿布を貼って耐えていました。原因のわからない状態で、ワクチンを接種するには、あまりにも大きい代償。日本の未来を支えていく子供を少しでも大切にしてください」という女子生徒の手記を読み上げた。
翌11日には東京・町田市で、渡辺厳太郎市議が、代表質問でこの問題を追及。
ワクチンの副反応症状に苦しむ少女の「パラリンピックで足が無くても義足で走っている選手がいるのに、どうして自分は足があるのに走れないのだろう。足が無くても走れるなら無くてもよいと本気で思いました」との手紙を読み上げた。
石阪丈一市長は「被害者が救済されないままで、予防接種制度を信頼しろというのは、難しいと考える」と被害者の気持ちに寄り添った。議会などの働きかけで、大和市、鎌倉市、茅ヶ崎市では、全接種者の調査が行われており、近くその結果が発表される。
(山本 彰)