利益相反著しい副反応検討部会
予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(9)
6月14日、第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が、厚生労働省12階の会議室で行われた。
子宮頸(けい)がんワクチンの副反応が多発していることを受け、何らかの重大決定が行われるとの見方があり、傍聴席は満員。
会議は、副反応検討部会委員に加え、合同で議論する安全対策調査会の委員も数人加わった。
冒頭、事務局から、出席委員が過去3年間、関係企業から受けてきた寄付金についての発表があった。
わが国で認可されている子宮頸がんワクチンは、英製薬会社「グラクソスミスクライン」(GSK)のサーバリックスと、米製薬会社MSDのガーダシル。
副反応検討部会では、ワクチン製造会社から、50万円以上報酬を得ている委員は、発言権はあるが議決権がないというルールがある。
副反応検討部会委員では、薗部友良(ともよし)・育良クリニック小児科顧問が、MSD社から講演料、原稿料として50万円以上500万円以下を受領。
もともと議決権はないが、参考人の神田隆・山口大学教授が、GSKから寄付金および講演料として50万円以上500万円以下を受領していたことも明らかに。
安全対策調査会委員では、五十嵐隆会長(国立成育医療研究センター総長)が、MSDとGSKからそれぞれ、奨学寄付金として50万円以上500万円以下の受け取りがあった。
MSD、GSKから50万円以下の資金援助を受けていた委員も発表された。これまでの会合での発表を総合すると、検討部会委員10人中、お金をもらっていないのは4人だけだ。
毎回、検討部会で行われるアナウンスだが、初めての傍聴者は、製薬会社に関する決定を行う委員の多くが、その会社から資金を受けている事実(利益相反)に驚くことになる。
アナウンスで名前が出なかったが「MSDから講演料を頂いているが、肝炎や肝臓病に関する講演なので、今回の子宮頸がんワクチンとは全く利害関係がないということを報告させていただきます」(柿崎暁氏)と理由にならない弁明をする委員も。自己申告なので、明確なところは定かでないと言える。
2時間余りに及んだ検討部会の議論は、同ワクチンを定期接種化に沿って継続的に積極的勧奨を行うか、積極的勧奨を一時控え副反応に関する情報提供ができるようにするか、という二つの考え方にまとまった。
多数決が行われ、一貫して接種継続を主張していた薗部委員は規定により議決から除外。欠席者の3人、座長の桃井眞里子氏以外の少数表決になり、2対3の僅差で積極的勧奨の一時中止が決まった。
表決では、MSDから50万円受け取っている稲松孝思東京都健康長寿医療センター顧問とお金を受領していないことになっている倉根一郎国立感染症研究所副所長が継続に賛成。
岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は2社から50万円以下を受領していたが一時中止に賛成した。
(山本 彰)