副反応への懸念浮き彫り-鎌倉市の子宮頸がんワクチン接種者調査
9割が2回目接種に慎重、「実験されたような気持ち」
神奈川県鎌倉市は11日、全国で初めて実施していた子宮頸がんワクチンの全接種者への調査結果を公表した。同ワクチンの副反応が各地で報告されてきたなかで、全3回の接種が終わっていない人の9割(1回接種のみの人)が次の接種に慎重であるほか、「実験されたような気持ち」といった声が寄せられるなど、副反応への懸念が浮き彫りになった。(山本 彰)
同調査は、2013年10月3日からアンケート用紙が全接種者に送られ、11月22日到着分までをまとめたもの。調査対象となったのは10年9月から今年8月に、任意もしくは定期でワクチン接種をした女子生徒3060人。
回収できた人数は1795人(58・7%)で、厚生労働省が「積極的な接種勧奨を差し控えている」ことを知っているか、との質問に対して88・6%が「はい」と回答。
同ワクチンは全部で3回打つ必要があり、2回目は1カ月以内、3回目は半年以内に打つと効果があるとされている。
現在までに子宮頸がんワクチンを接種した回数の割合は、3回全部打ち終わった人が90・1%で、2回が7・6%、1回が2・3%となっている。
次に3回終わっていない人を対象に、次の接種を希望するかどうかを質問。1回終わっている人で2回目接種を希望する割合は、わずか4・9%に止まっていた。
また「副反応の問題が解決するまで接種を見送る予定」が73・2%、「検討中」が17・0%で約9割の人が接種に慎重だった。未記入が4・9%だった。
2回終わっている人で3回目接種を希望する割合は、13・9%。これに対して、同様に「副反応の問題が解決するまで見送る」が49・6%で、「検討中」が32・9%と、やはり慎重派が8割以上を占めた。
さらに、「接種後、いつもと違う体調の変化があったか」の質問には、回答者の実に45・6%にあたる818人が「あった」と回答している。
そのうちわけとして、「一回目接種後にあった」が36・6%、「2回目接種後」が37・2%。「3回目接種後」が46・5%と、接種を重ねるごとに割合も増加している。
体調の変化の症状としては、「接種部位の痛み・かゆみ」(659人)、「部位の腫れ、あかみ」(493人)といった、最近ようやく周知されるようになった副反応が多いが、これに続いて、「だるさ・疲労感・脱力感」(162人)、「筋肉痛・腕が上がらない」(30人)「生理不順」(7人)という気になる副反応が多くなっている。
症状が一週間以上続いた人は74人(4・2%)だが、全接種者調査のため同市議会で主導的な役割をした長嶋竜弘市議は、これを重篤な副反応と判断。
子宮頸がんワクチン「サーバリクス」を製造しているグラクソスミスクライン(GSK)のホームページで「重篤な有害事象発現率」としている4・2%と合致している、と指摘した。
そのうえで「これほどの頻度で重篤な症状が出ることがあらかじめ明示されているのに接種を積極的に勧奨してきたのは問題」と批判した。
鎌倉市は近隣市町村に先駆けて任意接種に踏み切った。
接種者から調査の自由記入欄に47の意見があり「薬学の知識のない人は、何を信じればよいのか。将来のワクチンで何かあったら国や鎌倉市はどういう責任が取れますか」、「実験のような状況であったのかと想像すると恐ろしく思います」、「当分積極的な勧奨差し控えでいいと思う」といった懸念する声が多かった。






