子宮頸がんワクチン接種で意見書 「積極勧奨再開せず」求める
横浜市議会が全会一致で可決
副反応検討部会に影響必至
子宮頸(けい)がんワクチン接種と重篤な副反応との因果関係が明確にならないなか、神奈川県横浜市議会は17日、同ワクチンの「定期接種の積極的勧奨を行わないこと」を求める意見書を全会一致で採択した。厚生労働省副反応検討部会は25日、「ワクチン接種の積極的勧奨」再開をめぐり重大決定を下す意向だが、横浜市議会の意見書が大きな影響を与えることは必至だ。
同検討部会は、各地で重篤な副反応の報告が後を絶たないことから6月14日、ワクチン接種と疼痛(とうつう)など接種後に起きる症状との因果関係を明確化するため調査を決定。この間、積極的接種を行わないとの決定を下した。
意見書は、横浜市でも「ワクチンの接種を受けた生徒の保護者等から、持続的な痛み、不随意運動、脱力感等といった重篤な症状に関する相談が複数寄せられており、その対策が急務」と指摘。
そのうえで、重篤な副反応を未然に防ぐため、①国の調査により同副反応の発生頻度等を明らかにすること②因果関係が明確になるまでの間、子宮頸がんワクチンの予防接種の積極的勧奨を行わないこと――を要望している。
加えて、③副反応に対する治療法の確立と治療体制の充実および予算措置④副反応症状で学業に支障が生じた生徒の学校生活、進学への特段の配慮と支援策――を求めている。
横浜市は、宮城悦子・横浜市立大学附属病院准教授を中心に「横浜・神奈川子宮頸がん予防プロジェクト」を立ち上げ、早くからワクチン接種の推進に努めてきた。接種対象を高3生まで広げ、他の自治体よりも接種率が高く、行政も接種に積極的だ。
市の副反応相談窓口担当の健康福祉局の岩田眞美氏は先月10日、熊本市での推進派セミナーに参加。「行政の立場から」とのテーマで講演したが、副反応のことは一切述べなかった。
「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」神奈川支部の山田真美子代表は、「率先してワクチン接種を進める人物が要所を占める横浜市で、こうした意見書が全会一致で可決された意義は大きい」と語っている。