玉木新代表、政策立案能力磨き存在感示せ


 国民民主党の新代表に、玉木雄一郎共同代表が選出された。

 5月の結党以来、国民民主党は支持率の低迷が続いている。政策の立案能力を地道に磨き、政府・与党に対し、現実的で建設的な代案を掲げて存在感を示すことが求められる。

「対決より解決」掲げる

 玉木氏と津村啓介衆院議員による代表選では、玉木氏が国会議員61人中41人の支持を集め、地方議員や党員・サポーターの票も手堅くまとめるなど津村氏を圧倒。代表選出後、玉木氏は「全党一丸となって党勢拡大に取り組みたい」と表明した。

 前身の民主、民進両党は代表選の路線対立をきっかけに党分裂を繰り返してきた。このまま党勢低迷を打破できなければ、離党する議員が出てくることも考えられる。

 玉木氏は直ちに党役員人事に着手し、11日に両院議員総会を開いて新体制を発足させる。党勢拡大に向け、その手腕が問われる。

 玉木氏は旧希望の党代表を経て、国民民主結党時に共同代表に就任。「対決より解決」を掲げ、立憲民主党が主導する国会の抵抗戦術とは一線を画した。代表選では「人口減少を解決したい」として、3人目を出産した家庭に1000万円を給付する独自政策をアピールした。

 国民民主党を単なる「抵抗野党」にはしないことを示そうとしたのだろう。ただ、それが徹底されていないことは残念だ。

例えば憲法改正をめぐって、安倍晋三首相が提起する9条への自衛隊明記案には反対する考えを表明。「完全に改憲の私物化だ」と批判した。

 首相の9条改正案は、戦力不保持と交戦権否認を定めた2項を残したまま自衛隊規定を追加するというものだ。一方、玉木氏は改憲には前向きな姿勢を示している。

 そうであれば、9条に関しても代案を示すべきではないのか。国民民主党の基本政策で「違憲と指摘される部分を白紙撤回することを含め、必要な見直しを行う」としている安全保障関連法についても同様だ。

 玉木氏が秋の臨時国会までに立憲民主党などとの統一会派結成を呼び掛けるとともに、来年の参院選で共産党を含めた野党候補の一本化を目指す考えであることも疑問が残る。

 2016年の参院選では、32ある1人区の全てで野党統一候補が実現。11選挙区で与党に競り勝った。

 だが、野党が協力して多少議席を増やせたとしても、基本政策の一致点を見いだせなければ政権交代は実現できないだろう。特に、綱領で日米安保条約廃棄や自衛隊解消をうたう共産党と連携しても国民の支持は広がるまい。

数合わせありきに陥るな

自民党に長期政権の緩みやおごりが見られるのは確かだ。政治に緊張感をもたらすには、政権担当能力を持つ野党の存在が欠かせない。しかし先の通常国会で、野党はスキャンダル追及に終始して建設的な対話を放棄した。

玉木氏は数合わせありきではなく、政府・与党に対抗できるだけの骨太な政策を練り上げることが求められる。