野党新党協議、有権者の支持得られるか
民進党の大塚耕平代表と希望の党の玉木雄一郎代表が会談し、民進側が呼び掛けた新党の結成に向け、新党協議会を設置することで合意した。
党勢低迷が続く希望は、昨年9月の結党から約7カ月で解体されることになる。
民進と希望が来月に結党
協議会の初会合では、党名や綱領、基本政策などの調整を進めることを確認。月内の合意を目指す。新党旗揚げは5月上旬となる方向だ。
大塚氏と玉木氏の会談に先立ち、希望は両院議員懇談会を開催。執行部が民進との新党協議に入る方針を説明し、多くの民進出身者は賛意を示した。
しかし、細野豪志元環境相や長島昭久政調会長は合流に反対した。松沢成文参院議員団代表らは希望の党から分党し、別の党をつくる。
希望は昨年9月に小池百合子東京都知事が旗揚げ。10月の衆院選の直前、前原誠司民進党代表(当時)の主導で民進候補の多くが希望に合流した。
小池氏は憲法改正や安全保障関連法に賛成しない民進出身者を「排除」。現実的な安保政策を公約に掲げ、躍進するとみられたが、小池氏が衆院選に出馬しなかったこともあって失速。結局、リベラル派の立憲民主党が野党第1党となった。希望は党勢低迷から抜け出す見通しが立たず、民進に事実上戻ることを余儀なくされた形だ。
希望は今年1月、安保法について「容認できない」との見解を示した。安保法を「違憲」とする立憲や民進との協力関係構築を狙って従来の立場を転換したものだ。だが、これで民進と新党を結成しても有権者の支持は得られまい。
集団的自衛権の一部行使を可能とする安保法は3月末で施行2年を迎えた。安保法で定める「武器等防護」の一環として、海上自衛隊の護衛艦「いずも」は昨年5月、太平洋上で米補給艦を防護。海自補給艦も米イージス艦に給油を行うなど、同法に基づく任務の運用を着実に積み重ねている。
北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出活発化で安保環境は厳しさを増している。安保法は日米同盟を強化し、日本の平和と安全を確保するために不可欠であり、安保法への反対が国家や国民を守ることにつながるとは思えない。
学校法人「森友学園」や「加計学園」の問題、自衛隊日報問題などで、安倍政権は大きな批判を浴びている。しかし、各世論調査では野党の支持率も低迷が続いている。
野党が政府の不祥事を追及することは理解できる。だが、今月末に南北首脳会談、6月上旬までに米朝首脳会談の開催が予定され、今月中旬には安倍晋三首相とトランプ米大統領の会談も行われる。北朝鮮情勢を踏まえ、日本の外交・安保についてもっと議論する必要があるのではないか。
政権批判に明け暮れるな
旧民主党の流れをくむ民進や希望は、民主党政権時の混乱がいまだに国民の不信を招いていることを認識する必要がある。安倍政権批判に明け暮れているようでは、信頼回復は到底望めない。