PKO法25年、参加5原則は見直すべきだ
国連平和維持活動(PKO)協力法が成立してからきょうで25年を迎えた。PKO法に基づいて日本が参加した国際平和協力業務は計27件、派遣された自衛隊員は延べ約1万2000人に達した。
日本の貢献は国際社会から高い評価を得ているが、安倍政権が「積極的平和主義」を掲げるのであれば、PKO法をめぐって見直すべき点も多い。
自衛隊の国際貢献可能に
PKO法制定のきっかけは1991年の湾岸戦争だった。日本は憲法上の制約から自衛隊を派遣できず、米国中心の多国籍軍に総額130億㌦に及ぶ財政支援を行った。
しかし、国際社会からは「小切手外交」と批判された。これを受け、自衛隊の国際貢献を可能とするために政府が提出したPKO法案は、自民、公明、旧民社3党の賛成多数で成立。この時政府は、公明、民社両党の協力を得るため、PKO参加5原則を導入した。
この5原則は、PKOに自衛隊が参加する場合の前提条件で①紛争当事者間の停戦合意②受け入れ国を含む紛争当事者が国連平和維持隊の活動に同意③中立的立場を厳守④要件が満たされない状況が生じた場合は撤収⑤武器使用は必要最小限――から成る。
このうち武器使用基準については、2015年9月に成立した安全保障関連法で緩和され、離れた場所で襲撃された国連やNGOの職員らを武器を使って守る「駆け付け警護」や、他国軍と連携しての「宿営地共同防護」などの新任務を行うことが可能となった。
だが当初、自衛官は自分の命を守るためにしか武器を使えなかった。1992年に陸自施設部隊が派遣されたカンボジアPKOでは、93年に国連ボランティアの日本人男性と日本の文民警察官が凶弾に倒れた。
PKOの任務に照らせば、5原則は不適切なものだと言わざるを得ない。PKO部隊は無政府状態の国家に派遣されることもあるが、5原則がある限り、自衛隊はこうした国家では活動できない。
2012年から先月まで陸自施設部隊が派遣されていた南スーダンPKOをめぐっては、昨年7月の首都ジュバでの大規模な武力衝突が部隊の日報で「戦闘発生」と記されていたため、参加要件を満たしていないと国会で指摘されたこともある。
しかし、これは不毛な論議だとしか言いようがない。PKOは集団安全保障の一環であり、戦時国際法に基づいて活動しなければならない。戦闘に巻き込まれる危険性があるからこそ、武装部隊が派遣されるのだ。
南スーダンPKO部隊の撤収で、自衛隊の部隊派遣はゼロになった。安倍政権は新たな派遣先を探しているが、PKO任務の主流が停戦監視から武器使用を伴う文民保護へとシフトしたため、派遣のハードルが上がっているという。
秩序安定への寄与に必要
だがハードルが高いのは、5原則があるからではないのか。安倍政権が積極的に国際秩序の安定に寄与するというのであれば、5原則の早急な見直しが必要だ。