日米首脳会談、同盟強化で地域安定に貢献を


 安倍晋三首相は米国でトランプ大統領と初の首脳会談を行った。両首脳が日米同盟や経済関係の強化で一致したことを歓迎したい。

 「米軍受け入れに感謝」

 両首脳による共同声明には「核と通常戦力による米国の軍事力を使った日本防衛へのコミットメント(関与)は揺るぎない」と明記。沖縄県・尖閣諸島については「米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象」であることを確認した。

 会談後の共同記者会見では、事前に考えられていた以上に気が合う両首脳の蜜月ぶりがアピールされた。トランプ氏は大統領選の期間中、アジアでの軍事的関与の縮小や在日米軍駐留経費の日本側負担増、日本と韓国の核武装に言及するなど、米国が過去数十年間にわたり継続してきた外交政策からの決別を示唆していた。このため、日本をはじめとする同盟国の間から不安の声が上がっていた。

 だがトランプ氏は、在日米軍について「受け入れてくれていることに感謝の意を伝えたい」と述べた。「同盟関係にさらなる投資を行い、両国の防衛能力を強化することが重要だ」とも語った。

 両首脳は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設についても「普天間返還への唯一の解決策だ」との認識で一致。首相は「日米同盟の絆は揺るぎない。私とトランプ氏の手でさらなる強化を進めていく」と強調した。

 共同声明では「日米同盟はアジア太平洋地域の平和と繁栄、自由のコーナーストーン(礎)」であるとしている。日米同盟が地域の公共財であることを改めて確認した意義は大きい。両首脳は同盟強化で地域の安定に貢献すべきだ。

 経済関係について、首相は日本企業が米国での現地生産で多くの雇用を生み出してきたことを説明した。両首脳はアベノミクスの正当性を確認。麻生太郎副総理とペンス副大統領の両国ナンバー2による「経済対話」の枠組み新設で合意した。

 経済対話では財政、金融などマクロ政策、インフラ、エネルギー、サイバーの協力プロジェクト、既存のイニシアチブを基礎とした2国間貿易などについて包括的議論を行う。

 ペンス氏は、かつてのインディアナ州知事として日本企業の貢献を熟知する人物。日米がウィンウィンの関係を構築できるよう建設的な議論をしなければならない。

 首脳会談後、トランプ氏は首相と大統領専用機に同乗し、フロリダ州にある別荘、ゴルフ場へ招待するなど、異例の厚遇ぶりだった。両首脳が絆の深さを巧みに演出したとの見方も否定はできない。しかし、初会談としては上出来だと言える。首相はトランプ氏との信頼関係構築に成功した。

 絶え間ない努力が必要

 トランプ氏は日米の同盟関係をアジア政策の中心に据えるという決意を示した。

 首相は、トランプ氏が今年中に日本を公式訪問するよう招待した。今後も同盟関係の維持、強化に絶え間ない努力が求められる。