北海道補選、有権者に拒絶された民共路線
衆院北海道5区の補欠選挙が投開票され、自民党候補が民進党や共産党が推した無所属候補を退けた。今回の補選は第3次安倍内閣発足後、初めての国政選挙で、今夏の参院選の前哨戦とされた。
とりわけ注目されたのは、民進党が共産党と共闘し、「野党統一候補」を擁立したことだ。これに対して有権者は明確にノーを突き付けた。共産党との安易な共闘では国民の信が得られない。この教訓を民進党は肝に銘じるべきだ。
「野党統一候補」敗れる
北海道の補選は町村信孝前衆院議長の死去に伴うもので、自民党は「弔い合戦」と位置付け、総力戦で臨んだ。一方、民進党は共産党票の上積みを期待し、「民共」で選挙に臨んだ。
2012年の総選挙で町村候補は約12万8000票を得たのに対し、民主(当時)、みんな(同)、共産の3党の合計獲得票は約13万1000票だった。単純に計算すれば、野党共闘で選挙は勝てる。
他区でも同様の構図が見られ、民進党は共産党票を期待して同党との選挙協力に前のめりになった。だが、そうした安易な姿勢に有権者は疑問を突き付けた。それが今回の補選結果だろう。
本来、民進党は共産党と相容れないはずだ。先の結党大会で「立憲主義の党」を打ち出したが、共産党は警察庁が「現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識」(政府答弁書)している破壊活動防止法の調査対象団体で、議会制民主主義を否定する「プロレタリア独裁」を内に秘めている革命政党として警察当局は今も警戒している。
共産党は先の総選挙の沖縄選挙区で反辺野古の「一点共闘」を進め野党統一候補の擁立に成功、同1区で勝利し18年ぶりに小選挙区での議席を得た。こうした沖縄方式を今夏の参院選で全国化しようと、安保関連法廃止の「一点共闘」を目指し昨秋、志位和夫委員長は「国民連合政府」の樹立を呼び掛けた。
民進党はこうした共産党の政権構想に乗っていないものの、国政選挙での野党協力は事実上の「一点共闘」と見られた。
だが、「一点共闘」は反対のための政党のすることで、政権交代可能な政党のすることとは言い難い。国政は「一点」では済まないからだ。
国政は安保・外交はもとより経済、エネルギー、教育など多岐にわたる。安保関連法廃止の「一点」で一致しても、共産党は安保条約破棄、自衛隊否定論に立っており、民進党の政策とは相容れない。国政全般で確固たる政策がなければ、政権政党になり得ない。このことを民進党は想起しておくべきだ。
自民は心の緩み猛省を
自民党にも猛省を促したい。北海道と同時に行われた京都3区の補選は自民党議員の「不倫辞職」によるもので、候補すら擁立できず不戦敗を喫した。こうした国民の信を失う行動や同党議員の不用意な「失言」など政権与党としての自覚を欠く心の緩みが目立っている。
これでは今夏の参院選が危うい。憲法改正を目指す安倍政権の足を引っ張ることがあってはなるまい。