政治資金問題で突っ張る民進・山尾氏に新たな疑惑をぶつける新潮

◆“猟犬”の本能で追及

 週刊新潮が執拗(しつよう)(?)に民進党の山尾志桜里(しおり)政調会長を追っ掛けている。「地球5周分のガソリン代」を「秘書が、秘書が」という言い訳だけで逃げ切れるとでも思っているのだろうか。元検察官らしからぬ論理の破綻、虚偽の報告で、これだけ綻びがあれば、「ごめんなさい」と非を認めて謝ってしまった方が再出発は軽く早くなる。なのに、どうして突っ張っているのか分からない。週刊誌は取材対象が誤魔化したり逃げようとすればするほど“猟犬”の本能が呼び覚まされるのにだ。

 4月21日号で新潮は新しい疑惑をぶつけた。党本部(当時は民主党)から「政党交付金」からの「公認料」500万円を山尾氏は受け取り、それをそのまま地元総支部に「寄付」。支部は同じ日に同額を山尾氏に「選挙費用」として渡している。金が回っている、否、金は山尾氏の手元を動いてすらいない可能性がある。

 これによって山尾氏は「『寄付金控除のための書類』を受け取れる。そしてこれを用いて、所得税を減らすことも可能に」なり、「170万円の税金を浮かすことができる」ことになるのだ。「政治資金に詳しい浦野広明税理士」は同誌に「脱税が疑われる」と指摘する。

◆”手口”に党から注意

 こうした“手口”は党からも注意があったそうだ。「“寄付金の控除については意図が見え見えだから慎むように”といったお達しがあったんですよ」とは「旧民主党関係者」の話である。

 また、実質的に後援会事務所として「政治活動」に使っている「さくら塾」の費用が収支報告書に計上されていない問題について、「認識に欠けていた」ととぼけてみせたが、同誌は山尾氏のブログをさかのぼり、「さくら館」が「後援会事務所」として使われていた“証拠写真”を抜き出し、冒頭のグラビアに掲載している。

 これに対して山尾事務所では「現在事実関係を確認中」の一言だけ。これでは山尾氏への追及は一向に止(や)みそうもない。もはや「トゥモロー、トゥモロー」と歌っている場合ではないのだ。

 週刊新潮が店頭に並ぶ前日、記事が出ることを受けて山尾氏は記者会見を開いた。選挙費用については、「ご指摘を受けて、必要な範囲で調べて、必要があればご回答申し上げたい」とするのみ。「ガソリン代」の「秘書」とは連絡をつけていないことを明らかにした。

 山尾氏の対応を見ると、このまま逃げ切れると思っているかのような印象が強い。同誌は「法を熟知する検察出身なのですから、一段と高いレベルの倫理が求められるはず」(浦野税理士)と念を押すが、堪(こた)えていないようだ。同誌の追い討ちがあるかどうか、今後に注目したい。

◆大金で価値観に狂い

 話は変わって、リオ五輪で金メダルが期待されていたバドミントン選手が闇カジノに出入りしていた問題で、同誌はある「写真」を入手し掲載している。記事によれば、「墨田区内のカラオケスナックで撮影された」もので、若者が「20代のスナックママ」と絡み合っている写真だ。

 所属会社から「出勤停止30日」という“軽い処分”を受けた桃田賢斗選手。20歳を少し出たばかりなのに、大会賞金で高い酒を呑(の)み、高級腕時計を嵌(は)め、女性と絡み合う。羽目を外した報いが「写真」だった。「代理人」が写真について話したいと連絡してきたという。どんな写真かすぐにピンときて、震え上がった。

 元野球選手の覚醒剤、現役野球選手の賭博と、このところ、スポーツ選手の不祥事が相次いでいる。スターになって大金を手にすると、価値観が狂ってくるのは、ゴルフのタイガー・ウッズの「不倫騒動」を見ても明らかだ。「自分には許されている」と勘違いするのである。

 桃田選手は、将来を嘱望され、日本のバドミントン界を背負って立つ選手と言われる。ある意味、早い時期に失敗をし、試練を体験して、心構えを改めるきっかけとなったとみれば、今回の騒動もプラスになるのかもしれない。

 このまま桃田を潰(つぶ)すのか、彼の立ち直りを見守るのか、週刊誌やメディアの姿勢も問われてくるだろう。

(岩崎 哲)