若手議員にスキャンダル続出、タガが緩み”政治の劣化”進む与野党
◆「元愛人」が暴言告発
若手議員のスキャンダルが続いている。「自民一強」が続き、与党のタガが緩んでいるだけでなく、野党からもお粗末な政治資金問題が出てきている。全体に“政治の劣化”が進んでいるのだろうか。
今や「毎週特ダネを出す」ことになっている週刊文春が最新号(4月7日号)で取り上げたのが「保育園ヤジ議員菅原一秀愛人への暴言」だ。菅原議員といっても「誰?」とピンとこないかもしれない。練馬区議、東京都議を経て、衆院当選5回の叩(たた)き上げである。
叩き上げというと、いかにも議員ズレしたイメージがあるが、54歳の菅原氏はなかなか爽やかな印象を与えるスポーツマンタイプの独身(離婚歴あり)議員だ。
「保育園落ちた、日本死ね!」のツイートから始まった待機児童問題を国会で民主党の山尾志桜里(しおり)議員が追及した。その時、与党席から激しいヤジを飛ばしていたのが菅原氏だ。自身は自民党の待機児童問題等緊急対策特命チームの筆頭幹事に就いており、「熱心に取り組んでいる」そうだ。
その菅原氏が「子供を産んだら女じゃない」と女性を罵倒する男だと文春に“告発”したのが「元愛人A子さん」である。銀座のクラブでアルバイトをしていて、菅原氏の政治資金パーティーに顔を出したのが付き合うきっかけだったという。
同誌によると、A子さんに対して「男女の仲になると、菅原氏の態度は一変した」という。罵倒したり、急に怒りだしたりした。それは二人の仲だから、どういう付き合い方をしようが構わない。問題なのは、菅原氏が経済産業副大臣の職にある時、大臣が公務で南米に長期出張し、留守を預かる身でありながら、A子さんとハワイに行っていたということである。衆院議運委には「政治経済事情視察」として請暇(せいか)願を出していたそうだが、A子さんによれば菅原氏はゴルフ三昧で、現地の経済人らとの「意見交換の時間なんてありませんでした」という。
そして、元愛人のことを「子供を産んだら女性じゃない」と言い捨てたこともあった。こんな人間に待機児童特命チームの筆頭幹事を任せていいのだろうかと同誌は問うている。菅原氏は独身だから不倫ではないとはいえ、女性に対して、こういう態度を取っている人間であると暴かれたことは多少のダメージにはなるだろう。
◆新党の先行きに暗雲
菅原氏も問題だが、彼がヤジを飛ばした相手の山尾氏にも問題があった。こちらは週刊新潮(4月7日号)が「奇妙な政治資金」として報じている。
山尾氏の資金管理団体「桜友会」の収支報告書12年分には、「山尾氏本人から団体への寄付金として、計1144万円」の記載があった。政治資金規正法では個人の上限を1000万円と定めている。国会での質問の翌日に、報告書が書き換えられていたという。
さらに「ガソリン代のミステリー」も。山尾氏が報告書に記載したガソリン代金が計算すると年に「地球5周分に相当する」量だったのだ。ずいぶんと熱心に選挙区を回ったらしい。城崎に頻繁に視察に行っていたことになっている元兵庫県議がいたが、山尾氏はスケールが違う。「世の中を~!」と釈明でもするのだろうか。
また「謎のショートメール」もあった。当選お礼メールは送ってはならない。だが、山尾陣営から大量のメールが送られ、しかも海外のサーバーを利用したものだったようで、「違法」である。小気味よく政府を追及しながら、自身に幾つもの綻びがある人物を執行部に入れた新党・民進党の先行きに暗雲が垂れる。
◆「党内に驕り」と叱責
「ゲス不倫」の宮崎謙介前議員、買春疑惑の武藤貴也議員、パワハラ疑惑の河井克行議員、等々、自民党若手のスキャンダルが続出している。このほかにも女性関係で週刊誌が追い掛けている議員がいるという。実に政治家の質の劣化が激しい。
元自民党都連会長、通産相などを歴任した深谷隆司氏は週刊文春で、「今年に入ってスキャンダルや失言が相次いでいるのは、一強政権と言われることに胡坐(あぐら)をかいて、党内に驕りが出てきているからだと思います。(略)慢心し、何をやっても大丈夫と、国民をなめている議員も少なくありません」と叱責する。
その慢心が北海道5区補選にどう影響するか、夏の国政選挙の動向を占うことになる。
(岩崎 哲)