【無料公開】武蔵野市の“外国人投票条例”案にきれい事を並べ賛成する朝日・東京


「武蔵野市の住民投票条例」
日本人と外国人を区別せず、市内に3か月以上住んでいる18歳以上に投票権を認める内容。

国防義務ある中国人
 東京都武蔵野市はきょう、外国人にも投票資格を与える住民投票条例案の賛否を市議会本会議で採決するそうだ。それを控えて朝日19日付社説「共生社会を築くために」は、「そのまちに住む多様な人びとが、互いに認め合い、意見を交換しながら『共生社会』を築いていく。そんな施策のひとつとして意義深い取り組みだ」と、きれい事を並べて賛成している。

 左派紙は外国人となると、途端に甘くなる。東京は2日付社説で「外国人投票条例 多様性反映するために」と、外国人投票条例とまで表現し「多様性反映」と褒めちぎった。むろん「共生社会」は結構な話だが、外国人とりわけ共産中国の出身者にはもう一つの「顔」があることを忘れてはなるまい。

 そのことを思い知らされたのは2008年の北京五輪の時だ。当時、中国のチベット弾圧に反対し世界各地で聖火リレーへの抗議行動が行われた。これに対抗して中国は同年4月、約4000人もの中国人留学生らを長野市に動員、聖火が通る繁華街を中国国旗で埋め尽くし、これに異議を唱える日本人に暴力まで振るった。

 中国人留学生らは一見、日本社会に溶け込んでいるが、いざとなると本国の指示に従う。驚かされたのはその指示が日本の隅々にまで伝わり、強力な動員力を誇ったことだ。その2年後の10年7月に中国は国防動員法を制定した。

 同法は中国が有事の際に「全国民が祖国を防衛し侵略に抵抗する」ため、あらゆる物的・人的資源を徴用できるとし、中国国内はもちろん海外在住の中国人にも国防義務を課した。日本には中国国籍を持つ中国人が約78万人(20年末)在住しており当然、国防義務の対象となる。

声聞く仕組み他にも

 長野の動員は国防動員法の小手調べとの見方もあった。チベットやウイグルでの人権弾圧を見れば、「共生社会」を平気で打ち破るのが共産中国だと知れる。だから「外国人の住民投票権 国益損失の懸念拭えず」(産経19日付)が本当のところだろう。

 自治体が外国人の声を聞く仕組みは住民投票条例によらずとも他にあると産経は指摘している。外国人が人口の約1割を占める東京都新宿区には外国人が参加する「多文化共生まちづくり会議」があるし、ブラジル人が全国最多の浜松市では定期的に外国人住民の課題を共有し教育格差の解消を図り、外国人児童の不就学ゼロを達成したという。

 だいたい武蔵野市の条例案は「外国人」以前に疑問だらけだ。そもそも同市に住民投票に掛けるテーマが特にあるわけではない。公職選挙法が定めるような罰則を伴う投票運動の規制もない。それでいて投票資格者の4分の1の署名で有無を言わせず住民投票を実施する常設型で、投票結果に事実上の拘束力を持たせている。いったい何のために大慌てで条例を制定したいのか、意味不明だ。

本当の民意反映せず

 住民投票をめぐってはこんな事例もある。沖縄県名護市で1997年に実施された辺野古をめぐる住民投票(当時は海上ヘリ基地への賛否)は反対54%、賛成46%で、反対が上回ったが、比嘉鉄也名護市長(当時)は「民意はそこにはない」と断じて投票3日後の同年12月24日に基地受け入れを表明した。

 その真意を比嘉氏は後に地元紙にこう語っている。「住民投票というのは初めてで、通常選挙みたいに違反取り締まりがないから、おおっぴらに飲食接待し、日本全土から支援者も動員して蜂の巣をつついたみたいに大騒ぎになった。…市民の意思を示す投票というのは規制の中でやらないといけない。本当の民意はそこになかったと思っている」(沖縄タイムス17年12月25日付)

 これに中国人まで加われば、どうなるのか。考えただけで背筋が寒くなる。朝日や東京がいくらきれい事を並べても外国人に投票資格を与える住民投票条例に道理はない。

(増 記代司)