朝日の超リベラル路線否定を意味する総選挙での立共共闘へのお灸
立共否定派が圧倒的
「衆院選でおきゅうをすえられたのは、与党ではなく、共闘した野党だったのかもしれない。選挙後に実施された本紙の世論調査を見て、そんなふうに思った」と、朝日13日付の1面コラム「天声人語」が語っている。
世論調査は8日付に掲載されたもので、「来年の参院選で野党による候補者の一本化を進めるべきだと思うか」の問いに「進めるべきだ」の27%に対して「そうは思わない」が51%に達した。それで天声人語は「先の衆院選を特徴づけた野党共闘への視線が、ここまで冷ややかとは」と嘆じている。何を今さらの感がする。そのことは総選挙直後に分かっていたことだ。
野党共闘といっても、維新の会は議席3倍増の大躍進、国民民主党も議席増だったから、お灸(きゅう)を据えられたのは立憲民主党と共産党、つまり立共共闘だ。その賛否をずばり問うた毎日の世論調査では(13日付)、来年の参院選でも「続けるべき」は19%、「続けるべきではない」は43%で、立共否定派が圧倒している。
それにもかかわらず立憲民主の代表選では、立候補した4氏はそろって共産との共闘に言葉を濁している。それは朝日も同様で、20日付社説「立憲代表選 再生へ知恵を出し合え」は、「共産党との連携に否定的な国民民主党や連合にどう対応するのか、党首としての調整能力が試されよう」と、政策を言わずに「調整」の知恵しか問わない。
調整とは「ある基準に合わせて正しく整えること」を言う。政治における「基準」とは政策にほかならない。その政策を抜きにした調整のことを野合と言うのである。つまり朝日は立共共闘の野合の知恵を絞れと言っているのだ。
立共の代弁役を担う
もっとも立憲と共産に政策がないわけではない。総選挙では朝日は立共の代弁役を担った。それは総選挙の際に掲げた社説から読み取れる。主だったものを拾い出すと、こうだ(いずれも10月)。
▽民意に託された政治の再生(15日付)=疑似政権交代は限界、「安倍・菅政権」の総括の時、問われる野党の実力。
▽「1強」が生んだ弊害正す時(19日付)=安保法制の「数の力」の暴挙、森友・加計・桜を見る会で自民に自浄能力なし。
▽平和主義軸に戦略を(21日付)=憲法は平和主義が原則。防衛力増強に反対。敵基地攻撃能力に反対。
▽原発政策 10年前を思いだそう(24日付)=放射能に怯えた10年前を思いだし、反原発を。枝野氏は原発再稼働に厳しく臨む。
▽核禁条約 被爆国の針路を示せ(26日付)=非核三原則の国是を守り、核禁条約が開く国際社会とともに歩め。
▽憲法 議論の土台を立て直せ(28日付)=安倍氏や自民党の「改憲ありき」の態度が野党の不信・警戒感を招いた。猛省せよ。
▽沖縄の基地 「我が事」と受けとめて(28日付)=辺野古ノー。埋め立て止めよ。
▽家族の形 多様さを認める社会に(29日付)=選択的夫婦別性、同性カップルの権利保障を。
このように朝日社説は今なお反安倍にこだわる超リベラル路線だ。それは反改憲・反防衛力増強・反原発・反核抑止力・反家族を中核にしている。いずれも共産や社民、立憲民主の旧社会党グループの考えそのもので、維新や国民民主はとうてい受け入れられまい。いや、国民もしかりだ。
朝日世論調査では、自民が過半数を大きく超える議席を獲得したことは「よかった」が47%で、「よくなかった」の34%を上回り、その理由は「野党に期待できないから」が65%に達している。期待できないのは政策にほかならない。その意味で朝日もお灸を据えられたのだ。
独り善がりの無謬論
天声人語はそれには知らんぷりで、まるで他人事(ひとごと)である。この態度は「負けても反省なし」の共産の志位和夫委員長と二重写しになる。そろって独り善がりの無謬(むびゅう)論。朝共共闘と言うべきか。
(増 記代司)