大麻「使用罪」 法改正で乱用を防止せよ


 大麻の乱用が若者を中心に深刻化する中、厚生労働省は現行の大麻取締法に規定されていない「使用罪」を創設する方針だ。法改正で乱用を防止しなければならない。

検挙者の7割が20代以下

 1948年に大麻取締法が施行された時は、栽培許可を持つ農家が大麻成分を吸い込む可能性があったため、使用罪の創設が見送られた。しかし、最近の厚労省による国内農家への検査では体内から成分は検出されなかった。

 警察庁によると、2020年に警察が大麻事件で検挙した人数は前年比713人増の5034人で、4年連続で過去最多を更新した。このうち20代が同590人増の2540人で半数を占め、20歳未満は278人増の887人だった。20代以下が7割近くに上ったことになる。各年代のうち大学生は87人増の219人、高校生は50人増の159人でいずれも過去最多となり、中学生も8人いた。

 若者の間で乱用が広がっているのは、大麻の危険性に対する認識が低いことが要因だ。大麻の所持容疑で検挙されたうち748人について警察庁が調査した結果、危険性の認識がない人は78・2%に上った。

 大麻については「身体への悪影響がない」「依存性がない」などの誤った情報が流れている。しかし乱用すれば、記憶力や学習能力が低下し、大麻精神病などを引き起こして社会に適応できなくなるケースもある。危険性に関する啓発を強化する必要がある。

 海外の一部で大麻が合法化されていることも、危険性を軽視する傾向に拍車を掛けていると言えよう。だが海外で合法化されたのは安全だからではなく、大麻が蔓延(まんえん)し、一定の管理の下での使用を認めざるを得なくなったためだ。

 日本は海外ほど大麻が広がっているわけではない。今のうちに規制を強化すれば、乱用に歯止めをかけることは可能だ。

 一方、大麻所持で摘発された人の75%は、使用では処罰されないと知っていた。使用罪がないことが「使ってもよい」との誤ったメッセージになってきた面もあろう。

 大麻は覚せい剤など他の薬物使用のきっかけになりやすい「ゲートウエードラッグ(入門薬)」の一つとされている。法務総合研究所の調査によれば、覚せい剤取締法違反の受刑者で自己使用の経験があるうち約半数が大麻を使ったことがあり、その約半数は20歳未満で大麻の使用を始めた。薬物犯罪を減らすためにも、大麻使用罪の創設は欠かせない。

 厚労省の検討会が先月まとめた報告書では、使用罪創設について賛成意見が多数示された。厚労省は審議会でも検討し、早ければ来春の法改正を目指す。乱用を何としても食い止めなければならない。

厳重管理前提に活用を

 報告書では、大麻を原料とした医薬品について、海外で難治性のてんかん治療薬として承認されていると指摘。国内でも流通管理の仕組みなどがあれば、製造や使用を可能とすべきだとした。厳重な管理を前提に活用することが求められる。