日インドネシア、両国は結束して中国に対抗を


 日本とインドネシアは、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を対面で開催した。

 日本側は茂木敏充外相と岸信夫防衛相、インドネシア側はルトノ外相とプラボウォ国防相が出席。約5年ぶりの開催で、防衛装備品の輸出を可能とする協定に署名した。

 2プラス2で連携確認

 新型コロナウイルス禍の中、2プラス2が開催された背景には両国共通の危機感があった。協議では、中国海警船の武器使用を認める「海警法」の施行など、中国が東シナ海と南シナ海で力による現状変更の試みを継続・強化している現状への深刻な懸念を共有して「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けた連携を確認した。

 その上で自衛隊とインドネシア軍を含む多国間の共同訓練の強化、インドネシアの沿岸警備の能力向上に向けた支援などで一致した。インドネシアの海上保安庁に当たる組織との協力や、港湾施設のインフラ整備などの協力が始まる。

 沖縄県・尖閣諸島周辺では、中国海警船が領海侵入を繰り返している。一方、インドネシア北部の島の周辺でも中国海警船と漁船が排他的経済水域への侵入を繰り返している。共にアジアの海洋国家である日本とインドネシアが、中国の覇権主義的な海洋進出に対して結束するのは当然である。

 安全保障面の協力強化に向けて両政府は「防衛装備品・技術移転協定」に署名した。日本が同協定を結ぶのは米国、英国、フィリピン、マレーシアなどに続き10カ国目。海上自衛隊護衛艦などの輸出を想定している。両国の幅広い協力を一段高いレベルに引き上げるものであり、歓迎したい。

 インドネシアとの2プラス2は、日本にとって東南アジアで唯一である。人口・面積ともに東南アジア諸国連合(ASEAN)最大のインドネシアと関係を強化する意義は大きい。

 ルトノ外相、プラボウォ国防相の表敬を受けた菅義偉首相は「自由で開かれたインド太平洋のビジョンを共に実現すべく、具体的な協力を進めていきたい」と表明。インドネシアをはじめASEAN諸国からも協力を得たいという考えを伝えた。その意味でも、ASEANの盟主とされるインドネシアとの連携は重要だ。

 菅首相は昨年10月、就任後初の外遊でベトナムとインドネシアを訪問。インドネシアではジョコ大統領と会談し、新型コロナ感染拡大を踏まえて500億円の円借款を供与する方針を表明した。

 今回の2プラス2を機会に、両国は東・南シナ海を含む地域や国際社会の課題について意見交換を重ね、戦略的パートナーシップを確立することが希求される。米中間で対立がますます強まる中、日本との関係強化はインドネシアにとっても不可欠だと言える。

 地域の安定に貢献を

 日本とインドネシアは、自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する。共産党一党独裁体制の中国に対する包囲網を他の民主主義国家と共に構築し、地域の安定と繁栄に大きく貢献すべきだ。