関西圏宣言解除、気を緩めずに警戒続けよ
政府は、新型コロナウイルスの流行が落ち着いたと判断した京都、大阪、兵庫の関西3府県で緊急事態宣言を解除した。埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県と北海道では宣言を継続する。
この5都道県も25日には解除される公算が大きい。警戒を続けつつ、経済活動再開への準備を進めるべきだ。
5都道県は25日に判断
今回の解除は「直近1週間の10万人当たりの新規感染者が0・5人以下」との目安を重視したことによるものだ。関西3府県に加え、埼玉と千葉もこの基準を満たしていたが、首都圏2県は東京、神奈川と一体的に捉える必要があると判断した。首都圏は人の往来が活発であり、こうした判断は妥当だ。
宣言解除を受け、大阪府は新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生した施設を除き、休業要請の大幅解除を決めた。府は既に16日から、映画館や商業施設、大学などへの休業要請を先行して解除。営業再開に当たっては、適切な感染防止策の実施を条件とした。
安倍晋三首相は「大阪は商人の町。コロナ時代の新たな商売のモデルを示すことを期待する」と述べた。感染拡大防止と経済活動を両立させていくことが求められる。
首相は宣言が続く5都道県について、25日にも感染状況などを改めて評価し、31日の期限を待たずに解除の可否を判断する方針を明らかにした。東京の22日の新規感染者は3人で、3月22日以来、約2カ月ぶりに5人を下回った。直近1週間の都内の10万人当たり新規感染者は0・37人で「0・5人」を下回っている。このまま順調にいけば、25日に5都道県も解除されよう。解除に向けて準備する必要がある。
しかし、ここで気を緩めてはならない。専門家は「季節性のインフルエンザと異なり、夏に感染リスクが下がるわけではない。行動の緩みで6月以降の感染リスクは上がる」と指摘している。
宣言の解除、継続にかかわらず、マスク着用や手洗いの徹底、密閉、密集、密接の「3密」回避など、政府の専門家会議が示した「新しい生活様式」の実践継続が不可欠だ。
政府は3府県解除に合わせ、基本的対処方針を改定。抗原検査キットが今月中旬に薬事承認されたことを踏まえ、PCR検査との役割分担を検討し、伸び悩む検査件数の拡大につなげていく方針を明記した。このように感染再拡大への備えを強め、再拡大した場合には緊急事態宣言を再発令するなど機動的に対応すべきだ。
大規模経済対策を早急に
政府は当初、5都道県については28日に宣言解除の最終判断を行う構えだった。25日に前倒しした背景には、経済状況の悪化がある。
ただ、焦りは禁物である。拙速に経済活動を再開し、感染再拡大を招いては元も子もない。宣言が解除されても、すぐに感染拡大前の状況には戻れない。求められるのは迅速で大規模な経済対策だ。まずは、2020年度第2次補正予算案を速やかに成立させなければならない。