緊急事態延長、官民協力し収束への道筋を


 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が今月31日まで延長されることが決まった。当初今月6日までとしていたが、新たな感染者の減少が十分でないとの判断からだ。官民が一致協力し、この延長期間内に収束への道筋を付けていきたい。

感染者の減少が不十分

 安倍晋三首相は、緊急事態宣言発令後、全国の1日当たりの感染者数は200人程度、多い時の3分の1まで減少したことについて「収束に向けた道を着実に前進していることを意味する」としながらも「現時点では、感染者の減少も十分なレベルとは言えない。医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している地域も見られることから、当面現在の取り組みを継続する必要がある」とした。

 今回の延長でも、重点的に対策を進める必要があるとして、13都道府県が指定されている「特定警戒都道府県」の枠組みは維持する。その一方で、14日をめどに専門家らに感染者数や医療体制を詳細に検討してもらい、状況によっては、地域ごとに緊急事態宣言を31日より前に解除する考えを示した。

 地方ごとに状況は大きな違いがある。新たな感染者がしばらく出ていない地域もあるが、県をまたいだ移動で感染が広まる恐れもある。対象地域を全国としたのは妥当な判断である。

 また期限を今月31日までとした理由については、患者の平均的な在院期間が2~3週間とされており、新規感染者数を低水準に抑えながら退院を進め、医療現場の逼迫した状況を改善するために1カ月程度の期間が必要と判断したと説明。首相は「5月は収束のための1カ月、次なるステップへ向けての準備期間」と強調した。

 首相は、当初予定した1カ月で緊急事態を終えることができなかったことについて「国民の皆様にお詫(わ)び申し上げたい」と陳謝した。ただ、緊急事態宣言の外出自粛や休業などは、基本的に国民や企業への要請であり強制力は持たない。

 延長期間も国民一人一人の努力が求められることに変わりはない。国民の努力を後押しするためにも、政府は休業者への家賃の支援、雇用調整助成金の引き上げなど、企業を存続させ雇用を維持するための追加支援策を早急に実施してもらいたい。

 医療提供体制の強化も政府の支援に懸かっている。治療薬については、米政府が使用を認めた「レムデシビル」の承認手続きを急ぎ、抗インフルエンザ薬「アビガン」が今月中にも薬事承認できるよう首相は指示したが、PCR検査の体制拡充や感染者の病状に応じた医療機関・宿泊施設への受け入れ支援を加速させる必要がある。

新生活様式の習慣化を

 一方、首相は新型コロナとの戦いが長期戦となるとし、ウイルスの存在を前提とした「新たな日常」を一日も早くつくり上げる必要があることを強調した。専門家会議は新しい生活様式として、外出時にはマスクをし、人と人との間隔を空ける、帰宅後まず手や顔を洗う、密閉、密接、密集の「3密」を避ける、さらにテレワークや時差出勤のスタイルを定着させることなどを示した。粘り強い努力による習慣化が求められている。