令和の国づくり、今年こそ改憲に向け動き出せ


 令和2年が明けた。今年は昭和39(1964)年以来、56年ぶりに東京五輪・パラリンピックが開催される。

 東西冷戦と高度経済成長の真っ只中で国力伸長期にいた当時と比べ、現在は米中覇権争いと少子高齢化・人口減少が加速する内外情勢の中、少しでも対処を誤ると国力衰退に陥る時代を迎えている。今こそ政治家が将来を見据えてビジョンを示し、国民合意を形成する本来の政治力を発揮して戦後政治の最大の課題である憲法改正に挑んでもらいたい。

寒心に堪えない憲法審

 安倍晋三首相は1日付の年頭所感で、令和時代がスタートし東京五輪の開催を控えて「未来への躍動感があふれている今こそ、新しい時代に向けた国づくりを力強く進める時だ」と強調した。

 その上で①未来を担う子供たちへの大胆な投資②人生100年時代を迎える中での働き方改革と1億総活躍社会の実現③少子高齢化に挑戦する全世代型の社会保障制度改革④従来の発想に捉われない安全保障政策の不断の見直し――などを列挙して「この国のかたちに関わる大きな改革を進めていく。その先にあるのが、憲法改正だ」と決意を表明した。

 その意気や良しだが、連続3選の自民党総裁任期が残り1年9カ月となる中、改憲をいつまでも大きな改革の先に「夢」や「悲願」として置いておくだけでは済まされなくなっている。いまこそ、かつて表明したように、自民党の改憲案をベースにしながら(衆参各院で)3分の2を構築していく「政治の技術」を発揮すべき時だ。

 ただ、昨年の衆参両院の憲法審査会の審査状況を見ると寒心に堪えない。参院では実質的な議論は平成30(2018)年2月の自由討議以来、行われていない。

 衆院は、通常国会では国民投票の際のテレビCM規制について民放連の意見聴取と質疑を行っただけ。参院選後の臨時国会でも2年ぶりに自由討議が3回行われたが、同年6月に自民・公明・維新・希望の4会派が共同提出した国民投票法改正案の質疑・採決はまたもや先送りされた。

 この改正案は、投票環境向上のため平成28年の公職選挙法改正を国民投票法に反映させる7項目の改正を行うだけのもので、内容的には野党も異論がない。それすら1年半も店晒(たなざら)しにされている。

 野党の遅延戦術があったとしても、責任政党たる与党も怠慢の誹りは避けられない。

改憲派議員も結集すべきだ

 憲法審査会の本来の目的は、改憲原案、改憲の発議等の審査にある。これは現行憲法が改正について、国会が発議し、国民が国民投票等を通じて過半数で改正を承認する制度を定めているためだ。

 与党であれ、野党であれ、その国会議員の使命を無視はできない。首相と「現行憲法の自主的改正」を党是とする自民党のリーダーシップは必要だが、それだけでは足りない。改憲の志を持つ議員は今こそ知恵と情熱を結集し、改憲実現に向け邁進(まいしん)すべきだ。