中国共産党 習氏、長期政権へ権威確立
6中総会 11日に「歴史決議」
中国共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)が8日、北京で始まった。結党100年を迎えた党の歴史を総括する「歴史決議」案を審議し、最終日の11日に採択する見通しだ。毛沢東、鄧小平時代に続く40年ぶりの歴史決議により、習近平総書記(国家主席)は自らの権威と指導的地位をさらに固め、来年秋の党大会での続投と長期政権にまた一歩近づく。
「複雑な国際・国内の社会・歴史が原因。全国は重大な政治・社会危機に陥った」-。9月に出版された漫画「中国共産党歴史」の文化大革命(1966~76年)に関する記述だ。同書は続けて「この時期、わが国は依然として素晴らしい成果を挙げた」として、水爆実験の成功やニクソン米大統領の訪中などを並べた。
子供向けの漫画とはいえ、党中央の党史文献研究院が指導・審査したものだ。同書は、民主化運動を弾圧した89年の天安門事件には触れない一方、巨大経済圏構想「一帯一路」や貧困脱却など習指導部の実績を詳述。国民に誇りを持たせることを主眼にした歴史観が、今回の「党の100年奮闘の重大成果と歴史的経験に関する決議」でも披露される可能性が高い。
45年4月の決議は、路線闘争を勝ち抜いた毛が政敵を批判し、鄧がまとめた81年6月の決議は毛が発動した文革を否定した。しかし、今回の決議は過去の否定ではなく、歴史決議をまとめた指導者として毛、鄧に並ぶ権威を習氏に付与し、異例の3期目入りを確実にするのが狙いとみられる。
2012年に総書記に就任した習氏は、「反腐敗闘争」で江沢民元国家主席に近い党や軍の政敵を一掃するなどして異論を封じ込め、16年の6中総会で「党中央の核心」に位置付けられた。2期目に入る17年10月の党大会では、習氏の名前を冠した「思想」を党規約に明記。18年3月には憲法改正により、2期10年だった国家主席の任期制限を撤廃し、最高指導者として君臨し続ける法的障害をなくした。
任期制限や個人崇拝の禁止は、毛への権力集中が文革の悲劇をもたらした反省から鄧が導入したものだが、習氏はこれらを有名無実化してきた。長期政権への次なる仕掛けは、鄧が廃止した「党主席」制の復活との見方が根強い。
(北京時事)