習氏、「強国」アピール
中国共産党100年
自画自賛の歴史観
【北京時事】中国・北京で1日行われた共産党創立100年を記念する式典で、習近平党総書記(国家主席)は世界第2位の経済大国を実現した党の実績を誇示し、次の目標となる「強国」実現にまい進すると宣言した。習氏は、自画自賛の歴史観で一党独裁体制の正当化に終始した。
「党の輝かしい歩みを振り返り、明るい未来を展望する」。天安門楼上で演説した習氏は冒頭、こう前置きし、党創立100年の目標としていた「小康社会(ややゆとりのある社会)」や貧困問題解決を実現したと訴えた。
習氏はアヘン戦争(1840~42年)後の半植民地状態を経て、中国が「世界第2位の経済力へ歴史的躍進」を遂げたと強調。その上で「第2の100年」の建国100年を迎える2049年に向けて「全面的な社会主義現代化強国の建設を必ず実現する」と力説した。
演説は、国民の愛国心高揚と結束強化に重点が置かれた。習氏は20回以上にわたり「中華民族の偉大な復興」に言及。一方で、「(外国が圧力をかけるなら)中国人民が血と肉で築いた鋼鉄の長城の前で頭を割られて血を流すだろう」と激しい表現で強硬姿勢を鮮明にした。
習氏は、天安門に掲げられている「建国の父」毛沢東の肖像画と似た灰色の中山服を着用。天安門楼上からの演説は1949年10月に毛が建国を宣言した姿を想起させる効果を狙ったもようだ。
ただ、毛は急進的な経済政策「大躍進」などで多数の餓死者を出し、社会に大きな混乱を引き起こした。その後も、共産党政権は89年の天安門事件で民主化運動を武力弾圧した。
習氏はこれらの「汚点」には触れず、「正しい中国共産党」と称賛。現在、中国が直面する激しい格差拡大や少子高齢化などの問題にも具体的には一切言及しなかった。