柔道女子の芳田司、こだわりの内股で意地の銅
準決勝で敗れるも、気持ちを切り替えて自分の柔道を貫く
初めての五輪。女子57キロ級の芳田の動きは切れていた。先手先手の攻めで2試合を突破。準決勝も前に出たが、ジャコバ(コソボ)に奥襟を握られ組み負ける場面があった。延長2分すぎに小外掛けで技ありを奪われ、頂点に立つ道は途絶えた。
失意はあったが、「絶対に銅メダルを」と切り替えた。3位決定戦は得意の内股をどんどん仕掛け、2度の技あり。合わせ技一本で意地を示した。
高校卒業後、2014年にコマツへ入社。1984年ロサンゼルス五輪男子65キロ級金メダルの松岡義之総監督に、基本練習である打ち込みの仕方から改めさせられた。当初は「やってきたことを否定された」と戸惑いが大きかったが、今は「自分を折ってくれて、強く教えをたたき込んでくれた」と感謝する。内股が警戒されて思うように掛からなくなる時期もあったが、土台がしっかりしていたから大崩れすることはなかった。
松岡総監督が言う「バネで跳ね上げる、面白い内股」は大舞台でも威力を発揮した。こだわりの武器でメダルを決め、芳田は「やっぱり内股で勝ちたいという気持ちがあった」。目指していた結果ではなくても、自分の柔道を貫くことはできた。