総選挙政局と共産党 狙われる宙に浮く労組票
希望の党に民進合流へ
衆院が解散し、総選挙が10月10日に公示され、同22日に投開票される。小池百合子東京都知事を党首とする保守系の新党・希望の党の出現で状況は激変。前原・民進党は事実上、希望の党への合流方針を決めたが、左派・労組票を共産党が集めて議席を増すことも予想される。北朝鮮の脅威は危険水域を越えており、日本の安全保障を骨抜きにする共産党への批判を強めていかなければならない。
日本共産党は、9月21日に緊急に全国都道府県委員長会議を開催し、志位委員長が報告。「『比例を軸』にした共産党躍進のために、ただちに全有権者を対象とした大量宣伝、対話・支持拡大に打って出る」ことを当面の任務として意思統一を行った。
現在、日本の各地で、社民党、生活クラブ、左翼市民団体などと一緒に、野党共闘を訴える街頭宣伝活動などを行っている。また、9月8日には、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」キックオフ集会が開始され、署名を3000万集めることを目標に運動が始まった。共産党は、全面的に支援し、勢力の拡大を狙っている。
日本共産党の場合、候補者を引っ込めたり、新たに擁立するのは簡単である。日本共産党や日本共産党系の団体である民主商工会、新婦人の会などの職員であれば、辞退しようが落選しようが、元の職場に戻ればいいだけであり、生活は保障される。いきなりの出馬にも対応できる。また、現職の議員が落選した場合、国や都道府県レベルであれば、共産党の職員になればいいだけのことであり、市区町村議員であれば、民医連や民商などに就職すればいいだけである。ちなみに、共産党の議員の仕事(任務)は、党員や赤旗を増やすことが主であり、自民党や他の政党の議員のような自由はない。
一方、連合の動向が注目される。連合を構成する労働団体の中には、憲法改正などに批判的な労組がある。今後、そのような労組は共産党との選挙協力に進まざるを得ないだろう。日教組、自治労は、相変わらず、反安倍、憲法「改正」反対を訴えている。JP労組は、5月1日のJP労組新聞に「共謀罪成立阻止」、9月18日の新聞に「平和・人権・民主主義を守る取り組みの強化をはかろう!」の記事がある。
日教組の中では、全国退職女性教職員の会、日本退職者教職員協議会が力を持っている。それらの団体は、「護憲」、安倍政権批判に熱心だ。雑誌「月刊JTU」(日教組の英語訳の頭文字)8月号には、「憲法を守り続ける」という、少々長めの記事があるが、インタビューを受けているのは、前述の2団体の会長と、連合内の左派団体である、フォーラム平和・人権・環境の副事務局長であり日教組特別中執の北村智之氏である。
労組と選挙共闘を画策
自治労中央機関紙である「じちろう」5月21日号には、1面に、青年女性憲法フォーラムの記事が掲載されていて、過激な左翼団体である「戦争をさせない一〇〇〇人委員会」ののぼりの写真があり、「戦争への道は絶対許さない」の見出しがある。
私鉄労組は、5月10日の新聞に「共謀罪の成立を断固阻止」の記事がある。NTT労組は、8月26日の新聞に「辺野古新基地建設にNO」の記事がある。情報労連は、6月20日の新聞に「共謀罪法の強行採決を強く批判 民主主義の否定に断固抗議」の記事がある。
紙パ連合や情報労連は、東南アジアなどの労働組合結成運動を支援し、現地の共産主義的な運動と連帯している。よって、共産党は“背信”した民進党に遠慮せずに労組票をかき集め、都合よく選挙共闘を画策するだろう。