参院選決起で「自由民主」、「理念なき民共合作」を批判


野党統一候補の政策を問う

参院選決起で「自由民主」、「理念なき民共合作」を批判

自民党大会で万歳三唱をする安倍晋三首相ら=13日、東京都内のホテル

 自民党の機関紙「自由民主」3月22日号は党大会特集号だった。「参院選必勝に向け総決起/『先頭に立って選挙戦を勝ち抜く』/安倍総裁力強く決意表明」の見出しの通り参院選に向けた決起であり、「安倍総裁あいさつ」の見出しには「『自公政権』対『民主・共産勢力』との戦い」の言葉を取っている。

 自民党大会があった13日の翌日の14日、民主党と維新の党は新党名を「民進党」と発表した。27日結党をもって「自公政権」対「民進・共産勢力」の戦いになる。各世論調査から民進党への期待は高いとは言えない。しかし、これまでの民主党を相手とした選挙よりも厳しくなることは間違いない。

 共産党が「国民連合政府」構想で野党選挙協力を呼びかけた昨年9月以来、32の参院1人区では山形、宮城、栃木、新潟、山梨、長野、三重の7選挙区で与野党の勝敗が逆転、青森、秋田、大分で接戦になると2013年参院選の票の出方から計算され、報じられてきた。足し算通りにいかないとしても「民進・共産勢力」は手強くなる。

 同紙3月15日号1~2面に載った「茂木敏充選挙対策委員長に聞く」のインタビュー記事の中で、「参院選に向けて、現在、『野党統一候補』を擁立して与党に対抗しようとする動きがあるが」の質問に、茂木氏は以下のように答えた。

 「野党の一部が民主党に合流し、野党は実質的に民主と共産の2つになりつつあります。『野党統一候補』というより、『民共合作候補』と言った方が正しいと思います。政党とは、共通の理念の下で統一の政策を持つものの集団ですが、今回の『野党統一候補』は、理念も政策もバラバラな野党各党が候補者を寄せ集めて、『選挙の数合わせ』をする以外の何ものでもありません。……現在、野党各党で一致している政策は『安保法制反対・廃止』の一点だけです。そして、この先にあるのは共産党の主張する『日米安保の廃棄』と『自衛隊の廃止』です。……この夏の参院選では『自民党と公明党の安定政権』を選択していただくのか、それとも『民共合作の理念なき野党候補』『共産党が主導する革新勢力』にこの国を委ねるのか。国民の賢明な判断を求めていきたい…」

 このくだりの小見出しは「『自公の安定政権』か、『民主・共産の革新勢力』か国民の明確な判断求める」であり、党大会における総裁あいさつ記事見出しにつながるキーワードだ。

 このところ自民党機関紙にライバル「民主党」については頻繁に載っても、「共産党」は見かけなかった。自民党か民主党かの政権選択を選挙争点とした時代が去り、共産党が野党共闘で攻勢に出てきたことにより、憲法・安保をめぐるイデオロギー対決が復活する兆しだ。

 また、各野党の「理念なき合作」となればアンチを拠り所にする。「安倍首相暴走」批判は繰り返されるだろう。理念・政策がバラバラな連立はためにならないことを民主・社民の連立で有権者は体験している。しっかりとした政策論争で臨んでほしい。

 解説室長 窪田 伸雄