蓮舫氏の二重国籍問題

民進の“選挙互助会”体質露わ

 民進党の党代表選挙が9月15日行われ、蓮舫氏が新代表に選出された。野党第一党の党首は、将来の総理の座を狙う立場に立つ政治家である。その党首の座を争う段階で、同氏に「二重国籍」問題が浮上。しかも、説明が二転三転したことから、最新の月刊誌は保守論壇を中心に、国籍の意義と政治家としての資質を問う論考が並んだ。

 まずは、蓮舫氏擁護論から。コラムニストの小田嶋隆氏は、「新潮45」10月号の論考「『商売にならない』民進党」で、二重国籍の問題をきちんと説明できなかったことについては「批判が出ることは、ある程度仕方のない」としながらも、事務手続き上の問題でそれは台湾当局が処理すべきで、「蓮舫議員の側には何の落ち度もない」「政治家としての資格や、日本国民としての忠誠心を疑うのは、端的に言って差別そのもの」という。

 「Hanada」11月号で、マンガ家のいしかわじゅん氏は「二重国籍なんて、このグローバル社会で全然珍しいことじゃないだろう」「中国だから台湾だからいけないんなら、それはただのレイシズムだ」と、ピント外れの擁護論を述べている(「蓮舫の罪はなにか」)。

 これに対して、蓮舫氏の二重国籍問題をメディアで最初に取り上げた評論家の八幡和郎氏は、この問題についての一貫性のない発言や、二重国籍に厳しく対応する海外の実情を詳しく説明。その上で、「二重国籍や広い意味での帰化人が政治家になることは、それを規制することも、彼らに特別に忠誠を求めることも世界の常識であって、それをもって人種差別だとか日本は遅れているというのは、そういうことを言う人こそが国際的常識を欠如している」と擁護論を批判し、「国籍の管理もできないことは政治家として失格」と断じている(「蓮舫民進党新代表『二重国籍問題』の核心」)。

 もう一人、同誌上で蓮舫氏を厳しく批判するのは、台湾生まれの金美齢氏。今回の騒動で、1972年以降、国籍は形式上「中国」になっており、「中国の国内法では外国籍を取得した者は自動的に喪失をしている」から二重国籍にはならないし、「日本と台湾は国交がないので、台湾籍を有していたとしても法的に二重国籍だと認定されることもありません」との同氏の発言を紹介した上で、二重国籍以上に、台湾を蔑(ないがし)ろにする「この発言をもって政治家失格」と強調した。

 二重国籍問題を抱え、しかもその説明責任を果たさずに、少なからぬ有識者から「政治家失格」の烙印(らくいん)を押される蓮舫氏が代表選で他の候補を大きく引き離して勝利したのは、選挙の「顔」として一番いいからだろう。旧民主党は“選挙互助会”と酷評されたが、民進党の代表選は名前を変えても選挙互助会の体質のままであることを露呈させたのである。

 編集委員 森田 清策