「務め、最後まで全う」 天皇陛下、在位最後の1年


北海道、沖縄、今年も各地に

 天皇陛下はこの1年、皇后陛下と在位中最後となる多くの行事に臨まれた。陛下は「象徴としての務めを最後まで全うされる意向」(側近)を示しており、今年は御用邸での静養を除き1道8県を訪問。北海道地震や西日本豪雨の被災地も訪ね、傷ついた被災者に寄り添われた。

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天皇、皇后両陛下は国立沖縄戦没者墓苑で供花を終え、沖縄県平和祈念財団の関係者らに声を掛けられた=3月27日、沖縄県糸満市

 宮内庁によると、陛下は今年、都内だけで47の行事や式典などに臨み、内閣からの書類計940件を決裁、例年同様に多忙な1年を過ごされた。3月には皇太子時代を含め11回目となる沖縄県訪問を果たし、日本最西端の与那国島を視察。8月には日本最北に近い北海道・利尻島も訪れられた。

 9月には西日本豪雨で被害を受けた岡山、愛媛、広島各県を2週連続で御訪問。天候不順で予定変更を強いられながらも、飛行機や自衛隊ヘリコプターを乗り継いで被災地を慰問された。11月には北海道地震で被災した厚真町を日帰りで訪れ、住民や救援活動に当たった関係者らと懇談された。

 8月の全国戦没者追悼式では、「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願う」と御言葉を述べられた。御即位以来続けてきた「三大行幸啓」と呼ばれる行事に今年も出席し、全国植樹祭が行われた福島県では、原発事故の避難者や津波犠牲者の遺族らとも懇談された。

 陛下は7月に体調不良を訴え、脳貧血によるめまいと吐き気の症状があると診断を受けられた。最近も喉の痛みやせきといった風邪の症状があるが、予定通り公務に臨まれている。側近は「務めを最後までやり遂げると強くおっしゃっており、本当に頭が下がる。退位後はゆっくりお過ごしいただきたい」と話されている。