「新しい御代の安泰を」
皇后陛下、84歳に 最後の文書御回答
皇后陛下は20日、84歳の御誕生日を迎えられた。宮内記者会の質問に文書で回答を寄せ、天皇陛下の退位まで半年余りとなった現在の心境について、来年5月に新天皇に即位する皇太子殿下が陛下と変わらず、心を込めて天皇の役割を果たすことを確信していると述べた上で、「新しい御代の安泰を祈り続けていきたい」とつづられた。
皇后陛下は天皇陛下の退位後、上皇后となるが、陛下とともにすべての公務から身を引く。宮内庁によると、恒例だった誕生日の文書回答も今回が最後となる。
回答で皇后陛下は、結婚し皇太子妃殿下となって以降の60年を振り返り、「皇太子妃、皇后という立場を生きることは、私にとり決して易しいことではありませんでした」と率直な心情を吐露。義務を果たしつつ、その都度新たに気付かされたことを心にとどめる日々を重ねて歳月が流れたとし、これまで成長を助けてくれた全ての人々に深い謝意を示された。
陛下に対しては「どのような時にもお立場としての義務は最優先であり、私事はそれに次ぐもの」とした御自身の言葉通りに過ごされてきたと振り返った。その上で、象徴としての立場を模索し続けた陛下との日々を「今深い感慨と共に思い起こしています」とつづられた。
来年5月以降の過ごし方については、陛下の健康を見守りつつ、陛下と一緒に穏やかな日々を過ごしていければと述べる一方、日本や世界の出来事に目を向け、心を寄せ続けていく考えも示した。
その例として拉致被害者問題を挙げ、「これからも家族の方たちの気持ちに陰ながら寄り添っていきたい」と述べた。
公務から退いた後は、これまで読みたいと思っていた本を読めることを楽しみにしているという。
今後のお住まいとなる赤坂御用地内の仙洞御所(現東宮御所)の庭でマクワウリを作ってみたいとも記された。